核廃絶へ「連帯」強調 被爆75年の平和宣言骨子、広島市発表
広島市の松井一実市長は31日、被爆75年の原爆の日に平和記念式典で読み上げる平和宣言の骨子を発表した。核兵器廃絶や平和の実現に向けて市民の「連帯」の必要性を強調。日本政府には、核兵器禁止条約への署名・批准と、被爆後に降った「黒い雨」の援護対象となる区域を「政治判断」で拡大するよう求める。
宣言では「75年草木も生えぬ」とされた広島が、復興して平和の象徴となったことを「先人が連帯し苦難に立ち向かった成果」と指摘する。核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた連帯を「市民社会の総意」として築き上げていく責務が広島にはあると説く。
約100年前にスペイン風邪が流行した後の過去の歴史にも言及する。世界的な脅威となった新型コロナウイルス感染拡大に対して、市民社会が連帯して立ち向かうよう呼び掛ける。
連帯の意義を強調するため、被爆者の1人の「自国のことばかり考えるから争いになる」との言葉を引用。昨年11月に市を訪れたローマ教皇フランシスコ、同10月に92歳で死去した元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの言葉も引く。
日本政府には、核兵器禁止条約を署名・批准するよう明確に要求する。昨年は「被爆者の思い」として求めるにとどめており、被爆者団体などからは市長自らの言葉で要望するよう促す意見が出ていた。
「黒い雨」では、例年通り国の援護対象となる区域の拡大を主張する。区域外で雨に遭い、健康被害を訴える原告84人全員に被爆者健康手帳の交付を命じた29日の広島地裁判決を踏まえて「政治判断を改めて強く求める」と表現を強める。
松井市長は、連帯というテーマに込めた思いについて「平和について、日常生活の中で自然に語り合えるような世の中につながる宣言であることを大事にしたい。核兵器のない平和な世界へ向けた具体的な方法論の論議とは一線を画す」と説明した。(明知隼二)
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