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【インサイド】西日本でマダニ感染症拡大 媒介の2種多数生息、生活圏でも高いリスク(2017年9月25日掲載)

2020/8/2 23:17

 マダニにかまれてうつるウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が広島、山口県など西日本で広がっている。今年の発症例は8月30日現在、67件(うち死者は6人)で、既に過去最多の2014年(61件)を超えた。この夏は広島市安佐動物公園(安佐北区)のチーター2頭の発症や、野良猫から人への感染が疑われるケースなど異例の報告も続いた。

 市安佐動物公園に8月上旬、衝撃が走った。7月4日、同30日に相次いで死んだ7歳の雌と6歳の雄のチーターがSFTSだったことが分かった。「チーターの発症は世界初。どう対処すべきか、職員全員で論文をあさった」と飼育・展示課の久保盛恵(もりよし)課長は振り返る。

 園内の各所でマダニが確認された。同園は国立感染症研究所(感染研)の専門家らとともに対応を協議。蚊が媒介するデング熱が首都圏で広がった際、東京の代々木公園で対策に当たった業者の手も借り、駆除剤の散布や草刈りなどを徹底した。その後、マダニは確認されていないという。

 マダニは、シカやイノシシ、タヌキなどの野生動物にかみつき、血を吸う。同園のチーター舎にはイタチやネズミが持ち込んだ可能性があるという。同園の調査に協力した山口大共同獣医学部の前田健教授は「子どもが大勢訪れる場所にも危険が迫っている」と警鐘を鳴らす。

 ▽山口で初確認

 SFTSは前田教授らが国内で初めて山口県で確認、厚生労働省が13年1月に発表した。感染研によると、これまでの発症例は298件で、うち死者は59人。発症には地理的な特徴がある。確認されたのは石川県や三重県の以西23府県と西日本に偏在している。

 なぜ西日本に偏るのか。感染研の西條政幸ウイルス第1部長は「主に人に媒介する2種類のマダニが西日本に多い」と説明。今年の発症例の増加には「医療現場でSFTSの認知度が高まっているからではないか」と分析する。

 一方、前田教授は「西日本でウイルスがじわじわ広がっている段階」と指摘する。過疎化や林業の衰退で里山が荒れ、野生動物の生息域が拡大していることが背景にあるとみる。アライグマやハクビシンなど都市部にすみ着く外来種も増えた。「野山や草むらにいるマダニが人の生活圏に運び込まれるリスクが高まっている」と強調する。

 ▽ペットも注意

 さらに前田教授らの最近の調査で、野生動物だけでなく、飼い犬や飼い猫の感染例も確認されている。

 厚労省は7月、昨夏に死亡した西日本の50代の女性が、弱った野良猫を動物病院に連れて行った際に手をかまれて発症していたと発表。日本獣医師会などに注意を促す通知を出した。

 前田教授は「ペットが家にウイルスを持ち込むこともあり得る。人への感染はまれだが、身近に危険が潜んでいると意識を変えた方がいい」。野山や草むらで肌の露出を避ける▽ペットにも虫よけ剤を使う▽弱った動物に触れない―などの対策を勧める。(松本大典)

 <クリック>重症熱性血小板減少症候群(SFTS) SFTSウイルスによる感染症で、主にマダニにかまれてうつる。フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニなど複数種からウイルスの遺伝子が検出されている。発熱や全身のだるさ、吐き気などに見舞われ、重症化による国内での致死率は約20%。治療薬やワクチンは研究中で、今は対症療法で対応している。

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