地域ニュース
マダニ感染症 「ペットから人」も注意(2017年10月18日掲載)
マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、人の致死率が約20%にも上る感染症だ。マダニにじかにかまれるだけではなく、発症したペットから人に感染することが明らかになってきた。人とペットの命を守るために、感染予防を徹底させたい。
▽公園や河川敷 散歩中に付着
SFTSの病原体は、一部のマダニが持っている新種のウイルスだ。山や畑に生息するマダニにかみつかれ、血を吸われる際に感染する。特効薬はなく、主に血小板や白血球が減り、発熱や吐き気、下痢などに見舞われる。
厚生労働省は今月10日、SFTSを発症した飼い犬と接触した男性が、同じく発症したと発表した。男性と犬はともに回復している。ウイルスの含まれた犬の唾液に触れて感染したとみられる。犬から人への感染確認は世界初という。また、今年7月に発表された事例では、SFTSに感染した疑いのある野良猫に女性がかまれ、その後に感染して死亡している。
SFTSに詳しい山口大共同獣医学部の前田健教授(49)=獣医微生物学=によると、今年に入ってから犬のほかに猫3匹(うち2匹死亡)と広島市安佐動物公園(安佐北区)で飼育されていたチーター2頭(いずれも死亡)の発症が確認されている。
ペットの場合、散歩中にマダニが付着するケースが多い。広島市安佐南区のこころ動物病院の前田克志院長(36)によると、「マダニにかまれているので取ってほしい」と持ち込まれる犬猫を年間10〜20匹は診るという。
今のところは発症した事例はないが、前田院長は「ペットがマダニと接触する機会をなるべくつくらないこと。予防薬もきちんと活用することが大切」と飼い主に求める。「マダニは山以外に、公園や河川敷など身近な所に1年中いるため注意してほしい」(森岡恭子)
【予防のポイント】薬やスプレー/外出後ブラッシング
山口大の前田健教授に人とペットのSFTS予防についてポイントを聞いた。
―犬猫が発症したらどうなるのですか。
犬猫も発熱や下痢など人とほぼ同じ症状が出ます。調査や症例から猫は犬よりもSFTSを発症しやすく重篤化するのではないかと推測されますが、犬猫ともに注意が必要です。ペットが体調不良の際にはSFTSの可能性も視野に入れて動物病院を受診してください。体調が悪いとストレスからかみつくこともあるので、万が一の感染を防ぐためにも気を付けてください。
―普段から気を付けることは?
事前にペットに飲ませるなどしてペットにかみついたマダニを駆除する薬が有効なので動物病院で処方してもらうといいでしょう。市販でペット用の虫よけスプレーも購入できます。犬は散歩の後でブラッシングし、マダニがいないかチェックしてあげてください。犬はよく草むらに顔を突っ込むので目や耳にくっついていることが多いです。感染を防ぐために、猫は屋内だけで飼いましょう。ペットを守ると同時に、私たちの生活する場所にマダニを持ち込ませないことも重要です。
―ペットからうつされないためには。
SFTSに感染しても発症していない元気なペットから人に感染する可能性は低いでしょう。しかし、普段から人の顔をなめさせる、食器を共有するといった行為は避け、ペットとの節度ある付き合いを心掛けましょう。特に体調を崩したペットと接するときは唾液やふん便に直接触れず、手洗いを徹底してください。
<クリック> 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 2011年に中国の研究者たちが発表した。国内では13年に初めて報告された。9月27日時点で西日本を中心に303人の患者が報告され、このうち約20%の59人が死亡した。マダニの多くは3〜11月に活動を活発にするが冬季に活動する種類もいる。
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