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再度被災の住民、西日本豪雨時の検証望む声 江の川氾濫

2020/8/3 21:28
2年前に被災し、そのままになっている高山さんの前の自宅

2年前に被災し、そのままになっている高山さんの前の自宅

 江津市が2018年7月の西日本豪雨で全半壊した家屋を公費で解体する国の補助制度を使わなかった問題で、7月14日にあった江の川の氾濫による水害で被災した市民から、当時の判断の検証が必要との声が上がっている。2年前に費用負担が重荷で解体やかさ上げができず、自宅が再び浸水した人もいる。市は今回「国から説明があった」として制度を活用する。

 「(2年前に)補助があれば既に解体していたかもしれない。そうであれば今回の浸水はなかった」。江津市桜江町の会社員男性(60)はため息をつく。

 西日本豪雨で自宅が大規模半壊し、親戚の家に引っ越した。当時、解体してかさ上げした上で建て替えることも考えたが、300万円かかると知り諦めた。今回も約30センチ浸水し、家具を捨てる作業などが必要になった。

 公費解体の対象は原則、全壊だが、環境省は大規模災害であれば対象を拡充する対応をしてきた。西日本豪雨では、半壊以上に広げた。しかし市は、同省の文書にあった「生活環境保全上の支障となっている損壊家屋」などの文言を基に、対象を厳格に解釈。「被災家屋が道路をふさぐなどの状況が必要」(市民生活課)として、現地調査を経て対象の家屋はないと判断し、制度を使わなかった。

 一方、今回は環境省が7月に全国各地であった大雨災害を受け、災害ごとの運用ではなく、今後は「特定非常災害」に指定されれば、半壊以上を補助する方針を決めた。江津市によると、被災後、国の担当者から制度の説明を受けたという。市民生活課の小瀧陽夫課長は「準備ができ次第、半壊以上の被害があった対象者に周知する」と、活用する方針を示す。西日本豪雨については、当時の運用と文書に従った適切な判断だと改めて強調した。

 西日本豪雨で半壊の被害に遭った同町小田の高山茂さん(62)は「公費解体を知らず、選択肢が狭まった」と、解体や建て替えを選べなかったと振り返る。自宅は空き家のまま、高台に移った。「市からいまだ説明がない。『今から適用を』とは言わないが、どういう判断だったか検証し、次につなげてほしい」と訴える。
(下高充生、三宅瞳)

 <クリック>公費解体 廃棄物処理法に基づき、市町村が国の補助を受けて個人の被災家屋を解体する制度で、被災者は費用を負担する必要がない。被災者自らが業者に依頼し、解体後に事後申請することもできる。西日本豪雨では国は半壊以上に拡充し、中国地方では被害規模の大きい市町の大半が活用した。県内では全半壊計64棟だった川本町で29件を公費負担した一方、全半壊計167棟の江津市では1件もなかった。

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