被爆75年、世界と向き合う 広島、6日原爆の日
広島は6日、原爆の日を迎える。米国の原爆投下から75年。多くの市民が無差別に命を奪われ、壊滅した広島の街は、復興を遂げた。ただ、それと同じ歳月にわたって被爆者が望み続けてきた「核兵器のない世界」の実現は見通せない。私たち一人一人が、失われた命と被爆者が歩んだ苦難の道に思いをはせ、切迫する世界情勢と向き合いたい。
米国のトランプ大統領は7月、核兵器開発につながった75年前の初の核実験を「素晴らしい偉業」と表現した。核大国リーダーの言葉に、被爆者の間には怒りと無力感が広がった。「核兵器は絶対悪」との訴えは、いつになれば核保有国の為政者に響くのか―。被爆者は歯がみした。
トランプ政権は小型核の開発・配備を進め、核廃絶への道は険しさを増す。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、この春に予定されていた5年に1度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は延期された。被爆者が、世界から集まる各国代表に直接、核軍縮を迫る機会は遠のいた。
戦後75年。国内では河野太郎防衛相が、弾道ミサイルが発射される前に発射台などを壊滅させる敵基地攻撃能力の保有について「憲法上は可能」との見解を示している。この国は今、原爆死没者たち多くの犠牲の上に築き上げてきた非戦と平和主義とは真逆の方向に進んではいないだろうか。私たちはもっと危機感を高める必要がある。
さらに、核兵器廃絶運動を引っ張ってきた被爆者団体が各地で岐路に立っている。中国新聞社が105団体から回答を得たアンケートでは、4割近い37・1%が、被爆80年となる2025年まで活動を継続できないと考えていた。生々しい体験を直接聞き、ともに活動できる時間は短い。
核兵器がひとたび使用されれば、日常は消し飛び、家族の命が奪われる。生き延びた人も長期にわたり、原爆症に苦しめられる。私たちの住む世界に核兵器は要らない。子や孫の未来のためにも、その根本にあらためて立ち返る日としたい。(久保田剛)
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