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大戦が親族引き裂いた ニューカレドニアの孫・庄原の甥 戦後75年、ネットで初対面

2020/8/14 23:13

亀一さんの墓前で手を合わせる朋納さん(左)。右は朋納さんの妻静子さん(14日、庄原市)

 親族でありながら互いの存在を知らなかった二つの家族が今夏、インターネット電話で対面を果たした。南太平洋に浮かぶフランス領ニューカレドニアのロベール田川さん(71)と、庄原市東城町の田川朋納(とものり)さん(78)。ロベールさんの亡き祖父亀一さんは朋納さんの伯父に当たる。亀一さんは太平洋戦争開戦直後、移民先のニューカレドニアで敵国人として拘束、追放され、現地の家族と引き裂かれた。終戦から75年。2人は戦争に翻弄(ほんろう)された親族の絆を紡いだ。

 朋納さんは14日、自宅近くにある亀一さんの墓を訪れた。「あなたの孫は向こうで元気に暮らしていますよ」。墓前で手を合わせ、そう報告した。

 2人が画面越しに対面したのは2日。「日本の家族と話せて夢のよう」。ロベールさんは画面越しに声を弾ませた。「自分の原点が分からずに悩んできたが、心の平穏を得た」。2人は新型コロナウイルス収束後、一緒に亀一さんの墓参りをする約束をした。

 ロベールさんは、会ったことのない亀一さんの行方を追い続けてきた。現地の日系移民を研究している米テキサスクリスチャン大の平松アイアランド・ベンジャミン助教授(30)に協力を依頼。7月、朋納さんが庄原市で暮らしていることを突き止めた。

 亀一さんの人生は苦難に満ちていた。今は人気観光地となったニューカレドニアには明治・大正期、5千人以上の日本人がニッケル鉱山の労働者として渡った。亀一さんもその1人。1914年、21歳で現東城町から島を目指した。鉱員として働いた後、商店を経営。現地女性と結婚し、一人息子を授かった。

 生活が暗転したのは移住27年後の41年12月。日米開戦で日本人はフランス当局に捕らえられた。財産は没収。収容所に送られたまま、家族と生き別れた人も少なくない。当時48歳の亀一さんも免れず、翌42年に日本へ送還された。

 亀一さんの一人息子は53年、海難事故に遭い、帰らぬ人に。ロベールさんと姉ジュネバさん(72)の2人の子どもが残された。2人の手元にあるのは、亀一さんが収容所から家族に宛てた手紙だけだった。

 一方、朋納さんが知る亀一さんは、43年の帰郷後に地元の製鉄会社の研究部門で働いていた「頭のいい伯父」。55歳で再婚。74年に80歳で亡くなった。

 亀一さんは戦後一度も島を訪れず、当時を語ろうとはしなかったという。ただ朋納さんは幼い頃、1枚の写真を見せてもらったことがある。島での結婚式の写真だった。「やはり家族が恋しかったはず。戦争がなければ違った人生だったんでしょうね」。戦後75年の夏、引き裂かれた伯父家族の辛苦に思いをはせた。(田中美千子)

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  • インターネット電話で話すロベールさん(左)とジュネバさん(右)。右下の画面内は朋納さん
  • 故田川亀一さん

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