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巨大雨水管の完成大幅遅れ、地中掘削が難航 広島土砂災害で被災の八木・緑井地区に整備

2020/8/18 23:55
工事が予定より遅れている広域避難路「市道長束八木線」。奥の2棟は、地下に巨大雨水管を掘り進む大型掘削機の基地=広島市安佐南区(撮影・高橋洋史)

工事が予定より遅れている広域避難路「市道長束八木線」。奥の2棟は、地下に巨大雨水管を掘り進む大型掘削機の基地=広島市安佐南区(撮影・高橋洋史)

 2014年8月の広島土砂災害を受けて広島市がまとめた「復興まちづくりビジョン」の主要事業で、安佐南区八木・緑井地区に整備している巨大雨水管と広域避難路の完成が大幅に遅れることが分かった。地中の掘削作業が難航していることが主な要因。当初、19年度末までの集中復興期間内の完成を予定していたが、少なくとも1年以上ずれ込む見通し。広島土砂災害は20日で発生から6年。災害に強いまちづくりへのハード整備は道半ばだ。

 複数の渓流から同時多発的に土石流が押し寄せ、多数の犠牲者が出た八木・緑井地区。山際に広がる住宅地に白っぽい建物2棟がそびえる。雨水管を掘り進む大型掘削機の基地で、施設の地下部分では今も工事が進む。

 雨水管は豪雨の際、山側から流れる雨水を一時的にため、近くの川へ流す。総延長3千メートル、内径最大5・25メートルで、約2万2千立方メートルの貯水能力を備える。関連工事を含めた総工費は約96億円。18年3月に着工したが、事前調査の想定より硬い岩が多くあり、掘削作業は難航。7月末時点で完成したのは約4割にとどまる。

 雨水管工事の遅れに伴い、その地上部に設ける広域避難路「市道長束八木線」(延長1500メートル)の完成もずれ込む。土砂災害の発生を想定し、斜面に対して横方向に安全な場所へ移動しやすくするルートだが、7月末時点で完成したのは約3割。長束八木線に接続する広域避難路「市道川の内線」を含めた総工費は約55億円。

 市によると、雨水管、長束八木線とも20年度中の完成も厳しい状況という。広域避難路の整備を巡っては、安佐北区可部東地区に予定する2区間も19年度末までの目標に間に合わなかった。

 市は、これらの事業について継続復興期間(20〜24年度)内の早期完成を目指す。雨水管などの整備を担う市管路課の小林崇宏・建設担当課長は「住民に安心してもらうため、できる限り早く完成させたい」と話している。

 広島土砂災害は14年8月20日未明、積乱雲が連なる「線状降水帯」による局地的な集中豪雨が広島市を襲い、土石流や土砂崩れが多発。安佐南、安佐北両区で災害関連死3人を含む77人が亡くなった。(藤田龍治)

 <クリック>広島土砂災害の復興まちづくりビジョン 広島市が2015年3月にまとめた被災地復興の指針で、24年度末までのおおむね10年間。19年度末までの5年間を「集中復興期間」、その後は「継続復興期間」と位置付け、広島土砂災害と同規模の豪雨でも大きな被害が発生しないまちづくりを目指す。安佐南区の八木・緑井と山本、安佐北区の可部東と三入南・桐原、大林の5地区ごとに避難路や雨水管の整備などを進める。

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