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紙芝居で早期避難訴え 安佐南区の子育て中の母親ら制作、土砂災害の悲劇基に脚本

2020/8/19 20:56
広島土砂災害をテーマにした紙芝居を丁寧に描き進めるメンバーたち

広島土砂災害をテーマにした紙芝居を丁寧に描き進めるメンバーたち

 2014年8月の広島土砂災害で多くの犠牲者が出た広島市安佐南区の住民有志が、災害を題材にした紙芝居を作っている。脚本の原案を手掛けたのは、災害でわが子2人を亡くした平野朋美さん(43)=同区山本。「早めの避難で命を守ってほしい」。切なる願いを紙芝居に込める。

 子育て支援団体「MaMaぽっけ」(同区)代表の坂本牧子さん(59)が呼び掛け、子育て中の母親たち約20人が制作に参加。昨年7月に作業を始め、今年9月末の完成を目指している。

 転勤で引っ越してきた母親たちと日々交流している坂本さん。同区で甚大な被害が出たことを知らない人が年々増えていると感じていた。親子で楽しめる紙芝居作りを思い立ち、親交のある平野さんを誘った。

 14年8月20日未明、2階建ての平野さん宅の裏山が崩れ、家に土砂が流れ込んだ。1階にいた長男遥大(はると)君=当時(11)=と三男都翔(とわ)ちゃん=同(2)=が亡くなった。

 2年後、平野さんは、家族とともに仮住まい先から改修を終えた自宅に戻った。それから坂本さんと同じ思いを募らせていた。「普通の住宅地で災害が起きた事実を残したかった」

 メンバーと意見交換した上で書いた脚本の原案は「なっちゃんのランドセル」。自宅や祖父母宅が被災し、大切なランドセルも壊れて悲しむ小学1年の女児が、家族との関わりを通じて「命さえあれば立ち上がれる」と学ぶ物語。主人公の名前は、災害の2年後に誕生した長女菜月希(なつき)ちゃん(4)にちなんだ。

 こだわった場面がある。なっちゃんが必死に避難を呼び掛けた祖父が応じ、「なっちゃんのおかげで命拾いしたのう」と振り返るシーン。「避難したから助かったと、わが家も言いたかった」と平野さん。2人の息子を亡くした悲しみは癒えることはない。この一言に、さまざまな思いを込めた。

 雨や雷の色、土砂崩れの光景…。メンバーは今、あの日をどうすればリアルに伝えられるか、試行錯誤を重ねている。「災害の記憶や防災の大切さが伝わる作品に仕上げたい」と坂本さん。平野さんは「紙芝居を通じ、私たちのメッセージを多くの人に届けたい」と完成を心待ちにしている。(久保友美恵)

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