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娘の生きた証しここに 広島土砂災害6年、湯浅みなみさん両親へ同級生が手作りアルバム

2020/8/19 22:56

娘の笑顔があふれる同級生手作りのアルバムを見詰める順二さん(香川県東かがわ市)

 2014年8月の広島土砂災害で亡くなった湯浅みなみさん=当時(28)=の両親の手元に2冊のアルバムがある。短大時代の同級生が贈ってくれた。進学と同時に親元を離れた娘が精いっぱい生きた証し。「ここには私たちの知らない娘がいるんです」。あの日から6年。両親はアルバムをめくり、在りし日をしのぶ。

 災害が起きる前月の7月末、広島市安佐南区八木のアパートに引っ越したばかりのみなみさんと夫康弘さん=当時(29)=を土石流が襲った。結婚して10カ月。みなみさんのおなかには男の子がいた。

 高校卒業と同時に香川県東かがわ市の実家を離れ、兵庫県の短大に進学したみなみさん。災害後、多くの同級生が、みなみさんの実家に父若松順二さん(57)、母直美さん(58)を訪ね、思い出を語り合うようになった。

 アルバム作りを呼び掛けたのは同級生の1人、安田美紗さん(33)=兵庫県小野市。「ご両親と離れて暮らしていた学生時代のことを、少しでも知ってほしかった」。特に親しかった友人約10人に写真提供を依頼。約40枚を貼り、それぞれが思いをつづった。

 最初のアルバムが両親に届けられたのは災害の1年4カ月後。2冊目は昨年秋。体育祭でダンスコスチュームに身を包みカラフルなメークでおどけたり、下宿仲間で集まってご飯を作ったり。友人に囲まれ、笑顔のみなみさんがいた。

 両親はページをめくって感慨にふけった。「こんなにも楽しそうに学生生活を送っていたんだ」。愛しさがこみ上げた。直美さんは「あの子が持ち前の笑顔で一生懸命生きていたんだと、ひしひしと伝わってくる」と、「空白」を埋めるアルバムを贈ってくれた同級生に感謝する。

 両親がみなみさんと最後に会ったのは災害の3日前。広島市での新生活の報告がてら帰省したみなみさんと、なじみの焼き肉店でご飯を食べ、別れた。

 もう少しこっちにいたらと、あの時、引き留めていれば―。順二さんは今もふいに後悔の念にさいなまれる。「家族だけでなく、友人にも元気をくれてありがとう。そんなふうに僕らも生きないといけないね」。目を赤くして、アルバムの娘の笑顔を指でなでた。(木原由維)

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  • 広島土砂災害で亡くなった湯浅みなみさん(右)と夫の康弘さん

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