広島土砂災害6年、慰霊の朝 教訓継承誓う【動画】
広島市安佐南、安佐北両区で77人が犠牲となった2014年8月の広島土砂災害は20日、発生から6年となった。当時大規模な土石流などが起きた未明から、遺族たちが次々と被災現場を訪れ、亡き人をしのんだ。この日は夜にかけて各地で追悼行事が営まれ、災害に強いまちづくりや教訓の継承を誓う一日となる。
4人が亡くなった安佐南区八木3丁目の阿武の里団地。広藤喜美徳さん(83)、孝子さん(81)夫妻=安佐北区=たちは午前3時ごろ、長男務さん=当時(48)=の自宅跡で手を合わせた。孝子さんは「息子が死んだことをまだ認められない。私にとっては6年もたっていないんです」と声を詰まらせた。
近くに完成した砂防ダムには、「あの日から6年」「忘れまい」などの文字が次々と浮かび上がった。ボランティア団体と地元町内会が犠牲者を追悼するため初めて企画。ダム本体をスクリーンに見立て、プロジェクターで映し出した。
この日朝からの各地の追悼行事は新型コロナウイルス感染拡大を受け、規模を縮小して営まれた。安佐南区八木3丁目の梅林小にある慰霊碑前では例年、追悼式が開かれていたが、今年は献花台だけを設置。午前9時ごろから、遺族や住民たちが花を手向けた。松井一実市長も献花した。
市は安佐南、安佐北両区役所と佐東公民館(安佐南区緑井6丁目)に献花台を設けた。
広島土砂災害は14年8月20日未明、積乱雲が連なる「線状降水帯」による集中豪雨が広島市を襲い、土石流や土砂崩れが多発。両区で災害関連死3人を含む2〜89歳の計77人が犠牲となった。被災世帯は4389世帯に上った。両区の避難所には最も多い時で904世帯2354人が身を寄せた。
災害を受け、国と広島県、市が両区などの99カ所で砂防・治山ダムなどを整備する対策事業は今月上旬に完了した。一方、広域避難路や巨大雨水管を設ける市の「復興まちづくりビジョン」は事業の遅れが目立ち、災害に強いまちづくりは道半ばだ。
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