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野生の肉でストレス軽減 福山動物園が実験、トラの餌に骨や皮付きイノシシ

2020/8/21 22:35
イノシシにかぶりつくアムールトラ

イノシシにかぶりつくアムールトラ

 福山市立動物園(同市芦田町)は21日、飼育しているアムールトラに骨や皮が付いたままの野生イノシシの餌を与える実験をした。従来与えている、きれいに処理された馬や牛の肉よりも、より野生に近い餌の方が食べる際のストレスがかからないとみられるため。同園は害獣を捕獲した後の処理にもつながると期待している。

 野生のアムールトラはシカやイノシシを狩り、皮や骨をよけて肉を食べる。一方で、動物園のトラはブロック処理された馬や牛の肉が与えられるため、5分ほどでなんなく完食してしまうという。

 食に向き合わなくてもいい退屈な時間が長くなることで個体にストレスが生じるという。ただ、骨や皮が付いた肉は食肉業界で餌として流通しておらず、野生に近い状態の餌を確保するのは難しかった。

 そこで動物園は捕まえた後に廃棄されることが多い害獣に注目。今回は全国で唯一、餌用にイノシシを処理する福岡県内の業者に頼んで実験につなげた。「飼育動物のストレス解消だけでなく、廃棄される側の命を無駄にしないことにもつながる」と強調する。

 この日は6・3キロの小さなイノシシの内臓と頭を処理したものを低温で殺菌した状態で展示室に置いた。

 普段見慣れない餌を見つけたトラは匂いを嗅いだりなめたりして様子を見ていたが、がぶりとかみつき、前歯や舌で上手に骨や皮を除きながら約1時間かけて肉を食べた。飼育員によると「夏場は寝てばかりだった」というトラが肉をくわえたまま約6メートルの岩に登ったり、池に飛び込んだりして活発になる様子もうかがえたという。

 動物園は、現状ではこうした野生に近い餌の確保は難しいが、定期的に他の肉食獣や猛禽類でも実験をしたいという。トラ担当の飼育員萩原慎太郎さん(34)は「取り組みへの理解が広がれば、生産業者も増えてくるはず。飼育動物への影響も調べながら、可能性を探りたい」と話していた。(川村正治)


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