河井夫妻買収事件、現金「趣旨」全面対立へ 25日初公判、証人尋問100人超か
昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公選法違反(買収、事前運動)の罪に問われた前法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=と妻の案里被告(46)=参院広島=の公判が25日から東京地裁で始まる。両被告が広島県内の地方議員や首長、後援会の会員ら100人に渡したとされる現金の「趣旨」が最大の争点となる見込み。両被告は無罪を主張するとみられ、検察側と全面対立の展開が予想される。
案里被告への連座制適用を視野に、起訴から100日以内に判決を出すよう努める「百日裁判」で審理される。現時点で12月18日までに55回の期日が決定。ほぼ週3、4回ペースで集中的に公判が続く。両被告は同じ法廷で審理される。
最大の争点は、両被告が100人に渡したとされる現金の趣旨。中でも、地方議員や首長だった40人に注目が集まる。関係者によると、ほぼ全員が検察当局の任意聴取で買収目的の現金だったと認め、「被買収者」として供述調書にも署名しているという。
公判では、弁護側がこれらの供述調書の証拠採用に同意しないとみられる。検察側は、現金の受け取りを認めている県議や市議らを法廷で証人尋問し、両被告の買収意図を立証したい考えだ。両被告の広島市安佐南区の自宅から、現金の配布先を記載したとみられるリストを押収しており、物証として示すとみられる。
一方、克行被告の弁護側は無罪を主張する方針。県議選や広島市議選などの統一地方選があった前後の昨年3月下旬〜4月上旬にも県議や市議に現金を配ったことなども踏まえ「現金は陣中見舞いや党勢拡大のためだった」と反論。買収目的を否定する考えでいる。
公選法には、現金を配った側だけでなく、受け取った側を罰する規定があるが、検察当局は、被買収側とされる100人を起訴していない。弁護側は、検察当局が地方議員らから両被告の立件に有利な供述を得る見返りに刑事処分を見送る違法な司法取引をしたとして、公判を打ち切る公訴棄却を求める可能性もあるという。
案里被告は逮捕前に「違法なことをした覚えはない」と主張。公判でも無罪を訴えるとみられる。
両被告は7月8日に起訴された。公選法の規定では10月中旬までに判決を言い渡すよう努める必要があるが、関係者によると、証人尋問は100人を超えるという。東京での新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、上京が難しい証人については東京地裁の法廷と広島地裁をモニターでつないで尋問するビデオリンク方式の活用も検討している。現時点で期日が決まっている55回の公判以降も審理は続く可能性が高く、判決は来年にずれ込む見通しだ。
<クリック>参院選広島選挙区の大規模買収事件 起訴状によると、河井克行被告=衆院広島3区=は昨年3〜8月に計128回、妻の案里被告=参院広島=を当選させる目的で100人に票の取りまとめなどを依頼し、計2901万円を渡したほか、うち5人については案里被告と共謀して計170万円を渡した疑い。検察当局は、克行被告が連座制適用対象の「選挙運動の総括主宰者」に当たると判断。候補者本人の案里被告とともに百日裁判で審理される。両被告とも罰金刑以上が確定すれば、失職する。
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