逆風下、お祝いムード薄く 在職最長、首相の地元山口で看板や横断幕
▽支持率低下、催し自粛も
安倍晋三首相の連続在職日数が憲政史上最長となった24日、お膝元の山口県では県庁に記念の看板や横断幕が掲げられた。ただ、新型コロナウイルス対策への不満からか内閣支持率は過去最低水準で自民党関係者でもお祝いムードは薄い。対する県内野党は次期衆院選の統一候補擁立を巡る調整が進まず、自民安泰の情勢は揺るぎそうにない。
「祝 総理連続在職日数歴代最長達成」。午前9時、県庁敷地内の県政資料館バルコニーに縦1メートル、横12メートルの看板が設置された。県庁玄関ホールにも同じ文言の横断幕を掲示。村岡嗣政知事は「経済の再生や国際貿易ルールの確立など数々の実績を積み重ねられた。県民の皆さまとともに心からお祝い申し上げる」とのコメントを出した。
▽昨年にパネル展
山口県は村岡知事をはじめ国会議員と19市町長の全員が自民党員の保守王国。県は安倍首相の第1次、2次内閣発足時や通算在職日数が歴代最長となった昨年11月にも同様のセレモニーを実施した。
同12月には歴代最長を祝う「山口県の総理大臣展」を約300万円かけ県庁で開催。初代の伊藤博文や桂太郎から戦後の佐藤栄作たち県出身首相7人と安倍首相の写真を並べた。政策企画課の竹本敬史主幹は「県出身総理へのお祝いで他意はない。政党とは切り離して考えている」とする。
ただ、首相がコロナ対策で打ち出した布製の「アベノマスク」の不評や観光支援事業「Go Toトラベル」を巡る混乱が響いてか、共同通信社が22、23日に実施した世論調査で内閣支持率は第2次内閣発足後で2番目に低い36・0%に低下。ある自民党県議は「政権の逆風下だけにお祝いをするような状況ではない」と声を潜める。
昨年11月に通算在職日数の最長を祝い、首相が宮本武蔵やスーパーマリオに七変化する等身大パネルを作った地元下関の下関観光コンベンション協会も今回は催しをしていない。「特定の政治家に肩入れしていると前回は批判を受け週刊誌からも取材があった。今回は何もしない」と説明。首相の下関事務所も「コロナ禍でもありセレモニーは予定していない」とする。
一方、立憲民主党県連の坂本史子代表は看板を掲げて祝う県の姿勢に「税金を使うなんて冗談じゃない」と批判。国民民主党県連の小田村克彦幹事長は支持率低下を挙げ「健康不安説が出るのも首相の座を降りる布石ではないか」と話す。
▽野党の調整停滞
くしくもこの日、立民と国民、共産、社民の各党県組織は山口市で次期衆院選に向けて協議。共闘を仲介する市民団体の内山新吾共同代表は「コロナ禍で弱肉強食の安倍政治の問題点が明らかになった。県民が希望を持てる選択肢を示す」と意気込む。だが、安倍首相の地盤山口4区で立候補を表明するれいわ新選組の竹村克司氏(48)を統一候補とするかは「野党共闘に対する山本太郎代表の真意が見えない」と保留し、煮え切らない状況が続く。(門脇正樹、渡辺裕明)
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