バナナ、光市の特産に Uターンの農園主、たわわな夢【動画】
のどかな田園風景が広がる光市岩田に12棟のビニールハウスが夏の日差しで反射光を放つ。中で背丈を超す樹木に青々とした葉が生い茂る。青いバナナの房が空に向かって反り上がり収穫を待つ。農園を経営するNPO法人森林の里の事務長吉田正富さん(50)は「初めて見る人は熱帯じゃないのにバナナがなぜと驚かれます」とほほ笑む。
▽障害者が働く場を創出
障害がある人の就労を支援するためブルーベリーなどを栽培してきたノウハウを生かし、休耕田に新しいハウスを構えた。バナナの苗781本を2年前の冬に初めて植えた。大半が順調に育ち翌年7月には収穫できた。20〜70代の通所者20人が葉の剪定(せんてい)や出荷に携わる。「バナナは大量生産が可能で収益を期待できる」と吉田さん。年30〜40トンの出荷を見込む。
■菓子に加工販売
国産バナナの栽培に取り組むきっかけは岡山市で農業法人を営む義父の田中節三さん(70)の影響だ。田中さんは種を氷点下60度で冷却し、あえて寒い冬に作付けする。寒さに耐え、日本の気候に適応させる「凍結解凍覚醒法」を確立した。
品種は1970年代まで主に台湾から輸入されたグロスミッシェル種だ。販売価格は一般的な輸入品より割高だが、ねっとりとした食感と甘みが特徴。農薬を使わないので皮まで食べられる。地元産であることを知らしめようと「ひかりバナナ」と命名。農産物直売所や地元スーパーで販売する。昨年12月からはハウス近くの古民家を改装し、毎週土曜日に直売所を開いている。
購入者の好みの熟度で食べてもらおうとまだ青い状態で売りに出す。また、プリンや焼き菓子などに加工して販売。インターネットでも全国から注文を受け付けている。吉田さんは「贈答品として注目されている」と手応えを感じる。
光市で育った吉田さんは東京の大学を卒業後、金融関係の職に就いた。都内で仕事漬けの毎日を送っていたが、入社数年で秋田の支店へ異動。現地で農作業に汗を流す人たちの姿に憧れを抱くようになった。「いつかは自分も農業を」との思いを募らせ、15年前に古里で障害者支援施設を創設する母を手伝うためUターンした。
■大切に育て愛着
「農業は読み書きで学べるものではない」との義父の言葉を胸に毎日ハウスに通う。バナナの実の生育や木の状態を1本ずつ確認し、手作業で害虫を根気強く駆除する。根気の要る作業を続ける毎日だが、「大切に育てたバナナだからこそ愛着があるし、生活にも満足感が生まれる」と意に介さない。最近は地元企業との間で葉を使った酒やワックスを開発する話も持ち上がった。「光の特産品に育つ可能性を秘めている」と夢が膨らむ。
日本で食べられているバナナの大半が海外産であるように、食料の海外依存に疑問を抱く。「自分の食べる物は地域から得るのが本当の豊かな生活だと思う」と語る。「担い手不足の農業と障害者の就労支援を結び付けて地域を元気にしたい」。理想の農業がたわわに実れと今日もハウスに通う。(山本真帆)
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