山口知事、「夜の店」点検徹底を強調 県内初のクラスター、70店対象にPCR検査
山口県内で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が認定された26日、村岡嗣政知事は、震源である接待を伴う店がある山陽小野田市中心部の「夜の店」の点検を徹底し感染を封じ込める考えを強調した。市も緊急会議を開き対策を協議。県内では盆明けの10日間で感染が55人に上り、第1波を大幅に上回る波が押し寄せている。
「感染した客が地域の別の店にも行っていた。ただちに市中感染が起きているわけではないが、エリア全体の状況を速やかに把握し封じ込める必要がある」。村岡知事は、クラスターが起きた店がある日の出地域で酒を提供する飲食店約70店の従業員らにPCR検査を行うことについて厳しい表情で説明した。
この店ではこの日までに従業員4人と客10人、関連の濃厚接触者4人の計18人の感染を確認。日の出地域はJR小野田駅南側に広がり、市役所や警察署、量販店などが集まる繁華街。県は感染者たちが地域内の別の居酒屋やバーなどを訪れた可能性を否定できないとして感染を封じ込めるため緊急措置を執る。
一斉検査の受け付けは市役所で行い、28日までの3日間で済ませる計画。村岡知事は、該当店舗に休業要請はしない一方、県民に対しては「検査が終わるまで夜の店に行くことには慎重になってほしい」と呼び掛けた。
また、市も26日午前11時から緊急対策会議を開き、県と連携して一斉検査に取り組むことを確認。午後から職員10人が街に出て店舗に検査案内の文書を配布。夜の営業時間帯には催促の電話も入れた。記者会見を開いた藤田剛二市長は「過去に類を見ない懸念をしている。いまは感染拡大を防ぐ正念場だ」と危機感をあらわにした。
この日は県市長会のウェブ会議も非公開で行われ、各市長はこれまで以上に感染拡大の防止で県との連携を進め、封じ込めを図ることを確認した。
県内では5月5日までの第1波で36人の感染を確認。全国の傾向と同様にいったん収束したものの、7月15日から第2波が到来。これまでに97人と第1波の2・7倍の勢いで増え、うち6割近くが盆明けに集中している。減少のカーブを描く広島県などと比べ、中国地方で突出している。(門脇正樹、渡辺裕明)
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