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【やまぐち夏模様 コロナに負けじと】徳山繁華街エレジー 苦境の店集い生き残り

2020/8/28 18:40
徳山駅近隣の居酒屋やカフェなど飲食店が弁当を持ち寄って販売する店舗

徳山駅近隣の居酒屋やカフェなど飲食店が弁当を持ち寄って販売する店舗

 ▽外食・娯楽、営業知恵絞る

 炎天下の周南市のJR徳山駅前。一角の店舗で近隣の居酒屋や日本料理店、カフェなど10軒余りの飲食店が弁当を持ち寄って販売している。屋号は「周南駅近弁」。新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込む飲食店を支援するため周南料飲組合が7月に開店した。500円から千円までの手頃な値段ながら本格的な味が楽しめるとあって評判は上々だ。

 飲食店が軒を連ねる商店街の雑居ビルに暮らし、日々外食の独り身の記者にとって各店のオーナーには顔なじみも多い。大学時代には長い間、飲食店のバイトに明け暮れ舞台裏も少しは知る。それだけにコロナ禍の閑古鳥には胸が痛む。

 そこでボランティアで弁当店の店頭に立ちながら飲食業界の取り組みを記事にしようと、仕事の合間を縫って注文の聞き取りや商品の袋詰めを手伝った。

 ▽「何でもやって」

 周囲にオフィスビルが立ち並び、昼時には会社員が押し寄せる。密にならないよう行列の間隔を空けてくださいと頭を下げて回る。夕方には「暑いから料理を作りたくないよね」と弁当を買って帰る働く女性の声を聞いた。

 料飲組合の山中健太郎組合長(55)は「できることを何でもやって危機を乗り越えないと」と語る。地元で半世紀以上のれんを掲げる和食店の2代目。「弁当で久しぶりにうちの味を思い出したというお客さんもいる。この危機も前向きに捉えたい」と力を込める。

 ある日、一緒に店番をするアルバイト前田実来さん(18)から「仕事って楽しいですか」と聞かれた。今春高校を卒業した前田さん。身の振り方を模索しているようだ。「人に喜ばれることもあるよ」と社会人の先輩ぽく答えたが、実際には毎日もっと記事を書けと迫られているんだよなあ。

 苦境の飲食業界に対しては周南市も消費刺激へプレミアム付き商品券を発行するなど支援策を打ち出したが、市内ではひっそりと店をたたむ動きも相次ぐ。密になりやすい店舗をたたく「自粛警察」の批判を避けるため、外に光が漏れないよう窓に目張りして営業するマージャン店もあった。

 ▽ネットでライブ

 中でも全国各地で集団感染が起きたライブハウスは存続の危機にある。コロナ禍でもミュージシャンに活動の場を提供しようと、周南市中心部の「Gumbo」はライブのインターネット配信に活路を見いだす。23日のネットライブでは県内外の4組が出演。迫力ある演奏をカメラ3台で捉え全国へ配信した。

 北九州市を拠点に昭和歌謡を歌うデュオの「フェアリーシスターズ」にとっては5カ月ぶりのステージだ。女装のベーシストのメイさんは「高齢者施設の公演は全部キャンセル。歌える場があるだけでありがたい」と喜んだ。

 店主の寺本政生さん(63)は「ネット上で集める投げ銭を出演者が寄付してくれることもある。多くの人のおかげで何とか続けられる」と話す。脱サラして2013年にオープン。ライブ本数をこつこつ増やしてきたが、コロナの影響で4月上旬から40日間休業。再開後も8月の売り上げは平常時の1割程度だという。

 同じく客足が遠のくバーのうち商店街近くの「シネマパラノイア」のマスター中嶋明夫さん(53)は、近くで居酒屋を営む桜井真也さん(48)たちと29日に下松市の笠戸島で音楽イベントを開く。感染予防のため会場は換気のいい屋外。観客同士の距離を取ってもらう。音楽好きの中嶋さんがDJとなり、ラテンやレゲエを島に響かせる予定だ。

 「商売人同士、こんな時こそ力を合わせないとね」と中嶋さん。コロナ禍でやり玉に挙げられることが多い外食や娯楽産業、夜の街だが、「不要不急」な存在も人生には必要と中嶋さんはきょうもカウンターに立つ。(川上裕) 


この記事の写真

  • 感染予防のためインターネットでライブを配信するGumboの寺本さん(手前)
  • 笠戸島での音楽イベントについてバーで話し合う中嶋さん(左)と桜井さん

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