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自民王国・山口に衝撃広がる 首相退陣表明、在職最長に慰労や賛辞

2020/8/28
安倍首相の辞任表明を受け、多くの報道陣が駆け付けた下関市の安倍事務所

安倍首相の辞任表明を受け、多くの報道陣が駆け付けた下関市の安倍事務所

 安倍晋三首相が辞任を表明した28日、お膝元で全国屈指の自民党王国の山口でも衝撃が広がった。つい4日前に連続在職日数が憲政史上最長となり、山口県庁や地元の下関市役所では記念の看板や横断幕が掲げられたばかり。国を長年率いたことへの賛辞や慰労する声が相次ぐ一方、今後の政局への不安や長期政権による弊害への批判も聞かれた。

 首相の表明後に急きょ記者会見を開いた村岡嗣政知事は「突然のことで大変驚いている。会見を見ても無念の思いがひしひしと伝わった。常に山口県を頼むぞと言われてきた」と唇をかんだ。首相の元秘書で地元下関市の前田晋太郎市長も「まだまだ日本のためにご活躍いただきたいと思っていた」と残念がった。

 ▽経済政策評価

 岩国市の福田良彦市長は「米軍再編交付金の拡充や岩国錦帯橋空港の開港に力添えをいただいた。国防や安全保障は首相がどなたでも国家、政府として方針は引き継がれる」と受け止めた。岩国商工会議所の安本政人会頭は首相の経済政策アベノミクスを高く評価し「問題は次の総理。安倍首相ほどのリーダーシップを発揮して日本の政治経済を引っ張れる人が出てくれればいいが」と懸念する。

 首相の亡父晋太郎氏が眠る安倍家の墓がある長門市の江原達也市長は、2016年に同市の湯本温泉で開かれた日露首脳会談について「世界に名を知らしめていただいた」と感謝した。

 首相の祖父岸信介と大叔父の佐藤栄作の兄弟宰相を輩出した田布施町。両氏の常設展を設ける町郷土館の高橋茂樹館長(67)は「批判も多い中、よく頑張ったと思う。長期政権で世界からの信頼を取り戻したのではないか」とねぎらった。また、ある自民党県議は「憲法改正は安倍さんじゃないとできないと推してきた。改正の道筋だけでも付けるべきだった」と悔しがる。

 野党は一斉に批判の声を上げる。共産党県委員会の吉田貞好書記長は「安倍政権は国民に最悪の政権だった。コロナ対策は無策でアベノミクスはうそ八百」と厳しく批判。野党共闘を呼び掛ける市民団体「市民連合@やまぐち」の那須正幹共同代表は「自民党の政策に反対なのは変わりない。次期衆院選へ運動を継続する」と強調した。

 市民からは地元出身の宰相が退くことに惜しむ声が多く聞かれた。下関市の安倍事務所前で会社員永江勝則さん(63)は「株価を上げてすごい。この大変な時に安倍さん以外にトップが務まるのか。報道は批判するばかりで精神的にきつかったのだろう」とうなだれた。宇部市西岐波の主婦岩本しのぶさん(48)は「山口の首相なので応援していた。ゆっくり休んで」と気遣った。同市東山の無職永冨篤さん(70)は「コロナ対策は誰がやっても同じようなことしかできなかったのでは」と同情した。

 ▽「裏切られた」

 一方、山口市上宇野令の会社員佐藤昌紀さん(20)は「このタイミングで日本のトップが代わるのは不安」と顔を曇らせた。下関市の会社員中山亜矢さん(47)は「地元で期待していた分、裏切られたと批判する人もいる。連続在職日数が最長になったばかりだが、こうなるだろうと感じていた」と突き放した。岩国市麻里布町の主婦上田佳子さん(74)は「森友加計問題や桜を見る会など問題も目立った。長く総理大臣をやり過ぎた」と厳しい表情だった。


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  • 県庁に掲げられた安倍首相の連続在職日数の最長を祝う横断幕
  • 首相の辞任会見を受け、険しい表情で語る村岡知事

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