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【安倍長期政権の功罪】「誠実さ」民意と隔たり 河井夫妻事件・閣僚辞任・桜・加計…説明責任果たさず辞任

2020/8/29

2012年9月の自民党総裁選で勝利し、克行被告(左)と握手する安倍首相(東京・永田町の自民党本部)

 「さまざまな批判への説明ぶりに反省すべき点もあるかもしれないが、政権を私物化したことはない」。安倍晋三首相(山口4区)は退陣を表明した28日の記者会見で、政権の私物化批判は国民の誤解か、との問いに反論した。

 ただ、この発言を額面通りに受け取れないという不満は根強い。実際、政権与党の「誠実さ」を欠く問題は、中国地方で相次ぎ起きた。象徴的なのが昨年7月の参院選広島選挙区を舞台にした大規模買収事件だ。

 自民党本部は党所属だった河井克行被告(57)=広島3区=の妻の案里被告(46)を広島選挙区で2人目の候補者として公認し、現職の溝手顕正氏の10倍となる1億5千万円の資金を提供した。選挙戦では安倍首相や菅義偉官房長官、二階俊博幹事長たちが手厚く応援に入り、溝手氏を押しのける形で初当選させた。

 ▽論功行賞の見方

 安倍首相と克行被告のつながりは、2012年9月の党総裁選にみてとれる。克行被告は安倍首相の推薦人に名を連ねて応援。安倍首相が第1次政権の「挫折」から這い上がり、再登板したのを支えた。

 同年12月に民主党から政権奪還を果たした安倍首相は、克行被告を衆院外務委員長や首相補佐官として処遇した。案里被告の当選後、自身最後となった昨年9月の内閣改造では、法相として初入閣させた。党内でも閣僚への起用に慎重論がある中での「論功行賞」だったというのが政界内の見方だ。

 参院選で案里被告の陣営が車上運動員へ違法報酬を渡した疑惑が浮上し、克行被告が就任51日目で法相を辞すると、安倍首相は「任命したのは私だ。責任を痛感しており、国民におわびする」と陳謝した。ただ、トップとしての責任を取ることは最後までなかった。7年8カ月の第2次政権下で辞任した閣僚は10人に上るが、かわし続けた。

 ▽「言葉軽すぎる」

 両被告の裁判が始まった今、資金提供の経緯や、買収に使われたかどうかを調べようとする姿勢は党にはない。安倍首相自らも党総裁として全容解明を党に指示することはなかった。「『責任』という言葉が、国のリーダーとしては余りにも軽すぎる」。そんな批判は党関係者にもある。

 毎年4月に東京である首相主催の「桜を見る会」に地元の山口県から多くの支援者が招かれていた実態、友人が理事長を務める岡山市の学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画…。これらの疑念に対し、国民が納得できる説明をできたとは言い難い。

 それでも歴代最長政権を担えた背景には、12年の衆院選から続く国政選挙での6連勝がある。中国地方5県の選挙区では、ほとんどで勝利を重ねた。閣僚や党役員には、力のある中国地方の国会議員を要職に就けた。その筆頭が、外相と政調会長を歴任させた岸田文雄氏(広島1区)だった。

 岸田氏は安倍首相に欠けていた「誠実さ」を党内で評価され、「ポスト安倍」の有力候補の1人とされている。07年に続き今回も突然の辞任表明となった安倍首相は、退陣会見で誰も後継を指名しなかった。リーダーとしての責任の在り方をどう考えるのかという姿勢は、後継レースで問われる重要なピースとなる。(岡田浩平)

    ◇

 新型コロナウイルス禍の中、持病の再発を理由に28日に辞任を表明した安倍首相の7年8カ月の政権運営を、中国地方の現場から検証する。

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