地域ニュース

広島県内で広がるナラ枯れ被害 猛暑や少雨一因か

2020/8/30 21:30
ナラ枯れした木について説明する安田取締役相談役

ナラ枯れした木について説明する安田取締役相談役

 広島県内でことし、「ナラ枯れ」の被害が広がる兆候をみせている。コナラやミズナラなどが病気で枯れる現象で、広島市安佐南区や東区、廿日市市の一部の山ではまるで一足早い紅葉のように赤褐色になった木々が点在する。猛暑や8月の少雨が拡大の一因との見方もある。関係者は急な倒木などに注意を呼び掛けている。

 廿日市市の佐伯地域や吉和地域を車で通ると、山の中腹に紅葉のように色づいた木々が点々としている。「ナラ枯れです。ここ数年は落ち着いていたが、ことしはかなり目立つ。今からさらに広がる可能性がある」。地元の安田林業の安田孝取締役相談役(60)は警戒する。

 ナラ枯れは、体長5ミリほどのカシノナガキクイムシが媒介する「ナラ菌」が引き起こす樹木の伝染病だ。病気がうつった木は次第に根から水を吸い上げる機能を失い、枯れてしまう。樹木内で成長した成虫が別の健全なナラに移動することで被害が拡大。大量に枯れた場合、生態系に影響が及ぶほか、里山の景観悪化につながる恐れもある。

 ナラ枯れは1990年ごろから新潟県など日本海側を中心に被害が広がった。広島県によると県内で初めて確認されたのは2006年度。同年の被害は27本だったが、10年度には6288本にまで急増した。その後は減少して昨年度は1466本だったものの、今季は被害が再び拡大しつつあるとの見方がある。

 県森林保全課の山崎裕実課長は「ことしの被害の全体像はまだ分からない。9、10月にヘリコプターで県内の被害状況を調査し、その後、被害にあった木を駆除したい」と述べる。

 ことしの気候との関連性を指摘する専門家もいる。広島市森林公園こんちゅう館(東区)の坂本充主任技師(59)は「猛暑と少雨で樹勢が弱まり、伝染による枯死化のスピードに拍車をかけた可能性がある」と述べる。ここ数年、被害エリアは標高が高い所から低い所へ移動しているという。

 「急な倒木で車や歩行者に危険が及ぶ恐れがある。道路の近くで枯れ始めた木を見かけたら早めに地元の自治体に連絡を」と坂本主任技師は呼び掛けている。(東海右佐衛門直柄)

<クリック>ナラ枯れ ミズナラやコナラなどが枯れる病気。体長5ミリほどのカシノナガキクイムシが樹木に入り込むことで、ナラ菌がまん延し、木は根から水を吸い上げる機能が失われて枯死する。紅葉の季節の前の7〜8月に葉が赤褐色に変色し始める。幹に直径2ミリ前後の穴が無数に開き、根元に乳白色の木の粉が大量にたまることが特徴。伐採や薬を注入するなどの対策が有効とされる。

【関連記事】

猛暑…生育に影響、野菜の高値続く 小分け・簡易包装で値頃感

熱中症搬送、前週比1・8倍361人 中国5県、7月27日〜8月2日

猛暑こそ足湯 冷房で冷える体、血行促そう


この記事の写真

  • ナラ枯れの原因となる菌を運ぶ、カシノナガキクイムシ(県立総合技術研究所林業技術センター提供)

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

同じ日のニュースの記事
一覧