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「厳島美術館」計画を断念、廿日市市発表 業者、再検討の結果
2020/9/8 21:03
廿日市市は8日、世界遺産の島・宮島で予定していた「厳島美術館」(仮称)について、事業者の海運業リベラ(呉市)が建設計画を断念したと発表した。市は市有地を貸与するなどして、宮島の新たな観光拠点として整備を後押しする方針だったが、計画はすべて取りやめとなる。
市によると、同社は7月末、文書などで「諸般の事情により断念する」と伝えた。市有地とその隣接地の約3100平方メートルに2階建て約2700平方メートルの建物を建設し、横山大観や東山魁夷らの約千点の絵画などを順次展示する予定だったという。
同社総務部の王子田隆部長は「西日本豪雨や、日本製鉄の瀬戸内製鉄所呉地区の閉鎖方針などを受け、美術館構想について再検討した結果」と説明している。
宮島での美術館の建設計画は2007年ごろに浮上。市は、新たな観光拠点で来島者の滞在時間を延ばそうと誘致に動き、リベラは地域貢献策として、建設計画を固めていた。
しかしその後、予定地の地中から中世の護岸とみられる石列の遺構が発見され、保存方法を巡って文化庁と市との協議が長引いて計画は中断。2018年には着工の直前まで進んだが、同年7月の西日本豪雨で同社が本社を置く呉市で大きな被害が出た。呉市の地域経済の状況なども踏まえ、同社は事業を見直したもようだ。
今後は、同社が廿日市市にこれまで寄贈した、横山大観の絵画など115点の扱いが課題となる。市は「美術館の建設を踏まえて寄贈いただいた。リベラと協議したい」とする。市経営企画部の金谷善晴部長は「市が宮島で美術館を建てることは考えていない。跡地の別の利用について検討していく」としている。(東海右佐衛門直柄)
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