【激震 前法相夫妻事件】1億5000万円「責任」三様 自民総裁選候補、対応示さず
昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で自民党本部が前法相の河井克行被告(広島3区)と妻の案里被告(参院広島)に1億5千万円を提供した経緯や使途について新総裁はどう説明責任を果たすのか。8日告示された同党総裁選の共同記者会見に臨んだ3候補はいずれも「責任」に言及したものの具体的な対応には踏み込まず、その姿勢は参院選への関わり方も絡んで三様だった。
1億5千万円は、落選した岸田派の現職溝手顕正氏への提供額の10倍だった。税金で賄われる政党交付金や党費が原資になっているが、提供の経緯や使途の詳細は党本部から十分な説明がなされていない。
石破茂元幹事長(鳥取1区)は「私たちの党費がこんなことに使われるの、と思う人が出るのは当然」と指摘。「誤って使われたとは思っていないが、解明する責務は自民党にある」と明言した。
克行被告は昨年3〜8月、広島県内の地方議員や首長を含む100人に計2901万円を渡し、一部は案里被告と共謀して渡したとされる。案里被告を当選させるのが目的だったと検察側はみている。現金を受け取った安芸太田町、三原市、安芸高田市の首長と複数の地方議員は辞職した。
岸田文雄政調会長(広島1区)は「地元では自民党、広島の政治の信頼回復が大きな問題となっている」と危機感をにじませた。「党員の気持ちに応え説明責任を果たすことは大事だ。私が党に指示を出せる立場になったなら、この姿勢は大事にしたい」とも述べた。
参院選で案里被告を応援した菅義偉官房長官。克行氏は側近だった。これまで説明は「党が対応する」との立場を取ってきた。
この日は実態解明を党に指示するかについて「党のことは党でルールに基づいて行っている。今は官房長官の立場なのでこれ以上申し上げることはできない」とした上で「総裁になれば責任を持って対応したい」と付け加えたが、歯切れの悪さが目立った。
政治資金に詳しい日本大法学部の岩井奉信教授(政治学)は新総裁の役割について「1億5千万円の提供は誰がどういう決定をしたのか、疑念を説明しなければ党員や国民は納得しない」と指摘。「きちんと説明できなければ政治とカネの問題を曖昧にする党だと思われる」と話している。(境信重、桑原正敏)
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