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被服支廠強度17年調査、広島知事説明誤り 担当部署が変更、情報把握できず

2020/9/11 0:11

前回の耐震性調査でくりぬかれた被服支廠内部のれんが壁(2017年8月)

 広島県が広島市南区に所有する最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」で、湯崎英彦知事が4日に耐震性を再調査する方針を表明した際、理由に挙げた2017年度の前回調査に関する説明が誤っていたことが10日、分かった。建物のれんが壁の強度試験を「できなかった」としていたが、実際はくりぬいて調べていた。本年度から担当部署が変わり、当時の調査内容を把握し切れていなかったのが原因とみられる。

 県によると被服支廠はコンクリートとれんがの混合体のため、れんが壁の強度調査は建物全体の耐震性を判断する重要な材料となる。県は「再調査自体は必要」との姿勢を崩していないが、前回調査の結果を見落としたまま今回の方針を決めた過程について、あらためて説明が求められる。

 県は前回調査で、所有する3棟のうち1棟の建物内部の9カ所で壁のれんがをくりぬき、専門機関に持ち込んで強度試験をした。一方で、湯崎知事は4日の記者会見で前回調査の妥当性を問われ「被服支廠は壁をいじれる建物ではないので、(強度)試験はできなかった」と説明していた。

 県によると、前回調査では強度試験で得られた数値のばらつきが大きかった。そこで、耐震化費用を見積もる耐震診断では、業界団体が薦める標準値の採用を決めたという。その結果、耐震化には1棟当たり28億円、内部利用すれば33億円かかるとの試算が出た。

 こうした経緯について、今年4月の組織改編で発足し、被服支廠の保存や利活用の方策を検討する県経営企画チームの専任部署は「正確な情報を把握できていなかった」と認める。前回の調査当時の担当は県財産管理課だった。

 今回の再調査は、3月に撤去した建物周辺のれんが塀をくりぬいた強度試験で高い数値が出たのを発端とする。専門家も、耐震化費用をより安くできる可能性があると指摘している。

 このため県は、建物のれんが壁を詳細に調べ、保存工法を探るための再調査をするとの姿勢は変えていない。18日に開会を予定する県議会定例会に提出する2020年度一般会計補正予算案に、再調査費3千万円を盛り込む方針でいる。(樋口浩二)

 <クリック>旧陸軍被服支廠(ししょう) 旧陸軍の軍服や軍靴を製造していた施設。1913年の完成で爆心地の南東2・7キロにある。13棟あった倉庫のうち4棟がL字形に残り、広島県が1〜3号棟、国が4号棟を所有する。県は、築100年を超えた建物の劣化が進み、地震による倒壊などで近くの住宅や通行人に危害を及ぼしかねないとして、2019年12月に「2棟解体、1棟外観保存」の安全対策の原案を公表。県議会の要望などを受け、20年度の着手は先送りした。4号棟は、所有する国が県の検討を踏まえて方針を決めるとしている。


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