被服支廠の耐震調査説明「はしょった」 広島知事、くりぬき調査で釈明
2020/9/11 22:30
広島県が2017年度に取り組んだ被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の耐震性調査に関する湯崎英彦知事の説明が誤っていた問題で、湯崎知事は11日、「はしょった形で説明した。誤解があったとすれば申し訳ない」と述べた。「できなかった」と明言したれんが壁の強度を測るくりぬき調査については「やった認識はあった」と釈明した。
湯崎知事は4日、「被服支廠は壁をいじれる建物ではないので、(17年調査では強度)試験はできなかった。今回、危険な塀を撤去し、試験のチャンスが巡ってきた」と説明。3月に撤去した建物の周囲のれんが塀を調べた結果、れんが構造物の耐震性で重要なモルタルの継ぎ目の強度が17年調査を大幅に上回ったとして、耐震性を再調査する考えを示した。
この日の記者会見では一転、「くりぬき調査をやった認識はあった」と説明した。「できなかった」と発言した真意は、れんが壁を完全に貫通させられないなど調査手法に制約があった点を挙げて「信頼できる調査ができなかったという意味だった」と訴えた。
今年4月に被服支廠の担当となった県経営企画チームの専任部署は中国新聞の取材に、17年調査で壁のれんがをくりぬき、専門機関で強度試験をした点について「正確に把握していなかった」と認めている。この食い違いについて、湯崎知事は「担当と私の認識が違った」との見解を示した。
湯崎知事によると、れんが塀の強度に基づく簡易の耐震診断の結果、1棟につき28億円、内部を利用する場合は33億円としてきた耐震化費用が3分の1程度に圧縮される可能性がある。このため県は20年度一般会計補正予算案に再調査費3千万円を計上。くりぬきとは異なる手法でれんが壁の強度を詳しく調べ、保存の工法を探るという。(樋口浩二)
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