岸田氏、来秋の次期総裁選再挑戦へ意欲 2位確保で周囲は安堵
自民党総裁選で敗れた岸田文雄政調会長(広島1区)は、来秋の次期総裁選に再挑戦する意欲を示した。得票は菅義偉官房長官の4分の1にとどまったものの、岸田派(宏池会)以外の議員票の取り込みに成功して石破茂元幹事長(鳥取1区)を上回った。陣営は再挑戦への足掛かりになったと位置づけ、岸田氏は「総理・総裁を目指して次の歩みを進めていきたい」と意気込んだ。
両院議員総会を終えた岸田氏は、陣営の会合で「私の実力不足をおわびする」と頭を下げた。それでも会場を包んだのは安堵(あんど)の空気。岸田派議員らは口々に言った。「2位確保は次につながる」と。
外相や政調会長として安倍政権を支え、安倍晋三首相の「意中の人」とされた時期もあった。周辺が描いた禅譲路線に狂いが生じたのは春先。新型コロナウイルス対策の現金給付などを巡る与党内の調整で力を発揮できず、党内では「岸田氏は平時のリーダー。今ではない」と言われ始める。
最大の誤算は安倍首相の突然の辞任表明。支援を求め首相官邸で直談判するも色よい返事を得られず、主要派閥は菅氏支持へ雪崩を打った。「将棋でいえば序盤で詰みの総裁選」(岸田派議員)で岸田氏は自らを見つめ直すことになる。
日本記者クラブ主催の討論会で、発信力不足と評されてきた自身の言動について触れた。要職に起用され続ける中、肩書に自らをはめ込み「範囲を超える発言をためらっていた」と。
告示後は出産費用の実質無償化を訴えるなど記者会見や討論会で独自色を出そうと努めた。総裁選で掲げた「分断から協調へ」で、アベノミクスの負の側面である格差是正に意欲を示した。政策面では再挑戦への布石だったといえる。
国会議員票は、選対を構成する岸田派や谷垣グループなどの50票台前半から上積めるかが焦点だった。79票を得て岸田派内では「人柄や政策が党内で受け入れられた」との声が上がる。
一方で地方票は自ら課題に挙げる知名度不足が響きわずか10票。地元広島で3票を確保するも獲得ゼロは40都道府県に及んだ。再起を期すなら地方を回り対話を積み重ねることが不可欠だ。岸田氏は「戦いが終わった今、新たなスタートだと思っている」と強調した。(下久保聖司)
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