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大学授業、広がる「格差」 対面とオンライン、都内進学の学生から嘆き

2020/9/21
「入試以来、都内のキャンパスに一度も入ったことがない」と話す大学1年の女性。広島市内の実家で大学の課題に取り組む(画像の一部を修整しています)

「入試以来、都内のキャンパスに一度も入ったことがない」と話す大学1年の女性。広島市内の実家で大学の課題に取り組む(画像の一部を修整しています)

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、東京都内の大学に今春進学した地方出身の学生が不安を募らせている。地方の大学では今月以降に始まる後期から対面授業が広がる傾向にあるが、感染者の多い都内では依然、オンライン授業中心の大学が目立つ。都内と地方の間で広がるキャンパスライフの「格差」に嘆きの声が上がる。

 「入試以来、一度も大学に行ったことがない。この状態がいつまで続くんでしょうか」。都内の私立大1年の女性(19)はため息をついた。2月に大学近くのアパートを借りたが、首都圏で感染が急拡大。上京を急きょ取りやめ、広島市の実家に残った。

 後期からも原則オンライン授業になると知り、7月上旬、1日も入居しないままアパートを解約した。家賃は月6万円弱。親に負担をかけたくなかった。来年3月末まで上京しないつもりだ。「都内に住む同じ学科生同士は会っているようだけど、私は一人も会ったことがない。寂しい」

 ▽交流ままならず

 都内で暮らしている地方出身の大学1年生にも孤独を深める人がいる。同じく広島市出身で、都内の別の私立大に進んだ女性(19)は3月下旬に上京し、寮に入った。思い描いていた同世代の仲間や留学生との交流はままならない。

 今もなるべく不要不急の外出をしないようにしている。寮のガラス張りの1階ラウンジで寮生同士が会話すれば、近くを通り掛かった住民からクレームが入る。後期も対面授業は月1回しかない。家族への感染リスクを考え、当面実家には帰らないという。

 10月1日から、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象に東京も加わる。この女性は「旅行や飲食のキャンペーンはいいのに、なぜ大学だけ厳しいのか」と憤る。

 ▽感染リスク警戒

 文部科学省は15日、全国の大学と高等専門学校の計1060校について後期授業の実施方法などの調査結果を公表した。対面と遠隔の授業を併用するのは80・1%の849校で、前回調査から20ポイント増加した。ただ、その約7割は授業の半分以上が遠隔だ。

 同省高等教育企画課は「地方大学で対面授業の再開が広がる傾向にある。都内の大規模な大学ほど感染リスクを警戒し、再開に慎重だ」と分析する。例えば、東京大や早稲田大、慶応大などの東京六大学は、いずれも実験などを除いて原則オンライン授業を継続する。

 同じく一部で対面授業を再開する青山学院大はホームページで「対面授業のためだけに、地方や海外から首都圏に移動する必要はない」と学生に呼び掛けている。大学生の活動範囲は小中高校生に比べて広い。飲み会などでクラスター(感染者集団)が発生したケースもあり、大学側も対応に苦慮している。

 「特に1年生にとって、仲間をつくりにくい状況が長引くことは社会的孤立につながる」。コロナ禍の大学の在り方を探る会員制交流サイト(SNS)を運営する関西学院大法学部の岡本仁宏(まさひろ)教授は危惧する。「自治体や地域社会も学生や大学の悩みを共有し、長期的な支援策に知恵を絞る必要がある」と強調する。(木原由維) 

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