子宮頸がんワクチン 公費での接種、対象者へ通知を 広島県が市町に依頼
相次ぐ健康被害の訴えで国が2013年に積極的な勧奨を中止した子宮頸(けい)がんの予防ワクチンで、広島県は公費で接種できると対象者へ個別に伝えるよう、県内の全23市町に初めて依頼した。無料で受けられるのは小学6年から高校1年までだが、勧奨の中止で接種者が激減し、存在を知らない人が増えているとされる。県は「公費負担について知った上で、接種の是非を判断してほしい」と呼び掛ける。
ワクチンで十分な効果を得るためには3回の接種が必要で、完了まで半年かかる。「定期接種」として無料で受けられるのは、小学6年から高校1年に相当する年齢。このため高校1年で未接種の場合、今月末までに1回目を受ける必要がある。
高校2年以降でも自費で受けられるが、県によると1回につき約1万6千円掛かるという。県は「希望者は公費で接種できるとの情報は知らせるべきだ」と判断。7月末、対象者への情報提供を市町に依頼した。
依頼を受けた市町の対応は割れる。安芸高田市など3市町は全ての対象者に、効果と接種後に起こり得る症状を記したチラシなどを添えて文書で知らせた。広島市など15市町は高校1年など一部に限って通知。このうち廿日市市は6〜7月に自主的に取り組んでいた。
一方で5市町は通知しておらず、世羅町は「『行政が勧めている』と受け止められる懸念がある」と危惧した。県健康対策課は「公費負担を知らせるのは情報提供で、勧奨ではない。接種の是非は、国のワクチン情報を確認したり、医師へ相談したりして判断してほしい」と理解を求める。
国による13年6月の勧奨中止を境に、県内の接種者は激減している。13年度は1760人だったが、その後は14年度144人、15年度70人、16年度54人、17年度67人、18年度159人で推移する。15年国勢調査に基づくと、公費負担の対象となる小学6年〜高校1年相当の接種率は、15年度でわずか0・1%だった。(久保友美恵)
<クリック>子宮頸(けい)がんと予防ワクチン 厚生労働省によると、子宮頸がんは子宮の入り口にできる。性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が関わっており、ほとんどは免疫が排除するが、感染状態が長く続くとがんになるとの報告がある。ワクチンは、HPVの感染自体を予防する効果があるという。2013年4月に予防接種法に基づく「定期接種」となったが、接種後に全身の痛みなどの健康被害を訴える人が相次ぎ、厚労省は同年6月、ワクチンの接種を積極的に呼び掛けるのを中止するよう、全国の自治体に勧告した。
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