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福山市の大衆食堂「稲田屋」閉店 100年以上の歴史に幕

2020/9/23 19:37
名物の関東煮や肉丼を味わう客でにぎわう店内(撮影・井上貴博)

名物の関東煮や肉丼を味わう客でにぎわう店内(撮影・井上貴博)

 大正期から100年以上続く福山市船町の大衆食堂「稲田屋」が23日昼、最後の営業を終えた。常連たちが詰め掛け、慣れ親しんだ味との別れを惜しんだ。

 午前11時の開店前に約120人が並んだ。一番乗りの三原市高坂町、新谷早苗さん(62)の家族3人は午前7時前に到着。福山市で生まれ育った新谷さんは「親戚が集まるときは決まって稲田屋。祖父母から娘まで4世代で通った」。看板メニューの関東煮と肉丼を注文し「夢中で食べた子どもの頃を思い出し、涙が出そう」と漏らした。

 最後の姿を残そうと、カメラやスマートフォンを向ける人も目立った。同市神辺町の飲食業八津谷美穂さん(46)は「母に連れられてよくこの席に座った」と撮影していた。

 列は絶えることはなく、午後0時半ごろ並んでいた人のうち先頭から約20人をもって売り切れた。同市城見町の飲食店従業員鈴木里久也さん(23)は「駄目元で並んでみたが間に合わなかった」と残念そうだった。

 この日は、関東煮600本と、肉丼、肉皿の計約80人前を完売。最後の客をもてなし、午後1時20分ごろに「営業中」の札を下ろした稲田正憲社長(66)は「こんなにも多くのファンが来てくれてありがたい。この味を引き継いでくれる人がいれば幸い」と感謝した。(菅田直人)

【地図】福山駅南側のアーケード街の一角にある稲田屋

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