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国宝指定 今年5周年 松江城天守 輝き増す(2020年1月3日掲載)

2020/9/24 15:07
松江城天守の特徴を説明する稲田室長

松江城天守の特徴を説明する稲田室長

 ▽「近世城郭群」世界遺産狙う 全国自治体と連携

 江戸時代初期に築かれた近世城郭を代表する松江城天守(松江市殿町)が7月、国宝に指定されて5周年を迎える。まちの誇りとして市民が愛着を強める一方、国宝天守がある他の自治体と連携して、世界文化遺産を目指す取り組みも進んでいる。

 遠方を見渡せる最上部の望楼、狭間(さま)や石落とし、籠城戦に備えた井戸―。実戦を意識した4重5階の松江城天守は、鉄砲伝来により飛躍的に軍事力が上がった戦国時代終わりから江戸時代初めに築かれた城の一つだ。市松江城調査研究室の稲田信室長(58)は「戦の最後の拠点として、短期間で発達した城の姿を残す。一時代を物語っており、世界的価値がある」と強調する。

 市は、国宝指定後の2016年、同じく天守が国宝の松本城、犬山城の世界遺産登録に向け活動していた長野県松本市、愛知県犬山市と連携。全国の国宝5城を中心に「近世城郭群」としての登録を目指す準備会を設立した。国の「暫定リスト」入りに向け、提案書作りを進めている。

 市単独での調査研究も重ねる。18年3月、10年間の成果をまとめた「松江市史別編『松江城』」を発刊した。天守の柱や梁(はり)などに残る墨書を分析し、1700年代前半に大規模改修があった事実や、石垣の産地、城下町の成り立ちといった最新の知見を収めた。

 19年度には、海外の専門家に向け、松江城を例にした日本近世城郭の解説書作りを始めた。軍事施設としてはまれな木造の天守構造などを中国語や英語で説明する。「海外と日本では城のイメージが異なる。世界遺産を目指す過程で気づかされた視点だ」という。

 市はことし、4〜6月に松江歴史館(殿町)での特別展、7月には国宝指定までの歩みや、世界遺産への挑戦をテーマにした記念シンポジウムを開催。城を守り伝える市民組織の発足も目指す。稲田室長は「松江城を世界の宝とする機運を高めたい」と話している。(三宅瞳)

 ▽甲冑姿もてなし/歴史伝えるイラストも 松江武者応援隊 田淵悟史さん

 松江の城下町で生まれ育った会社員田淵悟史さん(44)=同市石橋町=は、イラストレーターとして、また市民ボランティア「松江武者応援隊」の一人として松江城の魅力発信に携わっている。「国宝指定を機に天守の見方が変わった。まちの象徴として守り続けたい」と語る。

 2015年の国宝指定に合わせて築城の歴史などを伝える紙芝居を作っていた公民館に依頼され、松江開府の祖とされる堀尾吉晴や天守のイラストを描いた。市内で毎年開かれる「松江武者行列」のポスターや、昨夏に城内に登場した、武者口調でしゃべりだす自動販売機のイラストも手掛けた。

 16年には武者応援隊のメンバーに。観光シーズンに手作り甲冑(かっちゅう)をまとって天守周辺へ「出陣」し、観光客の写真撮影に応える。今では携帯の待ち受け画面も、雪で薄化粧した松江城だ。「5周年を機に、城の歴史や天守の魅力が一層広まれば」と願っている。(三宅瞳)

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