• トップ >
  • 地域ニュース >
  • アーカイブ >
  • 祈とう札発見が国宝答申の決め手に、松江城天守 江戸初期完成を証明 市が懸賞金かけ探索、近くの神社から2枚(2015年5月16日掲載)

地域ニュース

祈とう札発見が国宝答申の決め手に、松江城天守 江戸初期完成を証明 市が懸賞金かけ探索、近くの神社から2枚(2015年5月16日掲載)

2020/9/24 16:31
松江城天守の完成年代を記した祈とう札を示す藤岡さん(右)

松江城天守の完成年代を記した祈とう札を示す藤岡さん(右)

 松江城天守(松江市)が国宝となる決め手になったのは、2012年5月に偶然発見された2枚の祈とう札だった。江戸時代初期の完成を示す大きな証拠。80年近く所在不明で、同市が最高500万円の懸賞金を設けて探していたが、天守の南わずか130メートルの松江神社にあった。文化審議会の答申があった15日、発見や裏付けを進めた市職員たちは、当時を振り返った。

 「神社は明治期の建立。時代が全く違う。天守に関するものだと直感した」。発見した市史料編纂(へんさん)室室長の稲田信さん(54)は話す。市史作成のため市内の寺社を調べていた。松江神社収蔵の棟札約20枚の中に、江戸時代初期の1611年を意味する「慶長十六」の文字を見つけた。

 祈とう札2枚は長さ70・6センチと81・0センチでスギ材。天守創建時に城の安泰や武運を祈った文言が残る。1937年7月、天守4階で確認されたのを最後に所在が不明。国宝化へ完成時期を特定したい市は2011年4月、懸賞金をかけた。

 発見後、実際に天守にあったと証明する作業に移った。松江城調査研究委員会などは、12年6月から天守で実地調査。くぎ穴や染みの跡から創建当時に札が打ち付けてあった柱を見つけた。市松江城国宝化推進室室長の卜部(うらべ)吉博さん(66)は、サーチライトで照らした柱に、くっきり札の形が浮かび上がった時にようやく「これで十分だ」と確信したという。天守での調査を終えたのは13年6月。発見から1年以上後だった。

 「まさに灯台下暗し。祈とう札の発見は天の恵みだった」。10年10月、国宝化へ約12万8千人分の署名を提出していた「松江城を国宝にする市民の会」会長の藤岡大拙さん(82)は、祈とう札を現在収蔵する松江歴史館(同市)の館長でもある。「国宝の価値を高めるような活動を続けていきたい」と話している。(秋吉正哉)

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

アーカイブの最新記事
一覧