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守り伝える松江城天守 <下> まちづくり 増える観光客…整備急務(2015年8月29日掲載)

2020/9/25 19:53
お盆の観光客でにぎわう松江城天守。昨年の同時期に比べ5割増のにぎわいだった(2015年8月14日)

お盆の観光客でにぎわう松江城天守。昨年の同時期に比べ5割増のにぎわいだった(2015年8月14日)

 天守の国宝指定後、初めてのお盆を迎えた松江城(松江市)は、昨年の同時期に比べ5割増の観光客でにぎわった。松江城山公園管理事務所によると、天守の入場者数は、13日からの4日間で1万3382人に上った。

 ▽混雑が常態化

 一方、城に最も近い大手前駐車場に駐車待ちの列ができた。最後尾は一時、約130メートル南の交差点まで到達した。

 近隣の駐車場の混雑緩和を目的に、松江市はことし初めて約1・5キロ南の「しらかた広場」に臨時駐車場を設け、大手前駐車場前との間に無料シャトルバスを走らせた。

 バスから降りた兵庫県宝塚市の会社員東條晋太郎さん(28)は「車なら30分は待ったはず。バスで来てよかった」と話した。

 松江城の近隣駐車場は平日も含め、混雑が常態化している。だが、駐車場の増設について松江市は、城周辺の用地不足などから消極的だ。松浦正敬市長は「観光客に歩いていただけるまちづくりをしたい」と徒歩での周遊を促す考えで、城周辺を整備する必要性を説く。ただ、周辺を含めた整備計画の策定はこれからだ。

 ▽犬山の成功例

 城を中心としたまちづくりに成功した例は既にある。国宝の犬山城天守がある愛知県犬山市だ。年間40万人以上が訪れていた天守の入場者数は2004年度、半分以下の約19万人まで減った。

 市は住民と協力して城門から続く本町通り(約600メートル)を再整備。賃料補助などで、空き店舗に約30店を誘致した。周辺の魅力アップに伴い入場者数も回復。14年度は約52万7千人と41年ぶりに50万人を超えた。市教委歴史まちづくり課は「天守と城下町を一体にしたまちづくりが成功した」とする。

 国宝になることで、松江城はさらなる大きなステップアップが見え始めた。松本城の世界遺産登録を目指す長野県松本市が、松江市に連携のラブコールを送っているのだ。

 松本市は2011年に国宝の天守がある犬山市と滋賀県彦根市に声を掛け、「国宝四城世界遺産登録推進会議準備会(仮称)」を発足させた。既に登録されている兵庫県姫路市の姫路城とともに、日本の近世城郭の世界遺産を目指す。

 松江市との連携を視野に、9月に担当職員を派遣して協議を始める。松本市文化振興課の久保田忠良課長は「連携して機運を高めていけば、世界遺産登録の可能性が高くなる」と期待する。

 国宝となって注目を集める松江城を、にぎわいづくりにどう生かしていくのか。まちづくりの大きな夢へ、歩みは始まったばかりだ。(秋吉正哉)

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