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カキ生産にもコロナ禍の影 広島県内、実習生来ず人手不足

2020/9/30
カキの種付け準備をするインドネシア人の実習生。新たな実習生の来日が難しく、人手不足が今後深刻化する恐れがある(呉市音戸町)

カキの種付け準備をするインドネシア人の実習生。新たな実習生の来日が難しく、人手不足が今後深刻化する恐れがある(呉市音戸町)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、10月から水揚げが始まる広島県内のカキ生産に影響が及ぶ恐れが出ている。外国人技能実習生の来日が困難で、カキ打ちや加工作業を担う人員が不足しているため。入国制限は今後、一部緩和されるが、予定通りの人員確保は厳しい見通しだ。現場では「今季の出荷量を減らさざるを得ない」と懸念する声もある。

 「焦っとるんよ。人が足りなくて、どうしようもない」。生がきや冷凍かきフライなどを製造するオオノ(廿日市市)の寺西芳明社長(62)は、そう打ち明ける。今秋に中国とベトナムから計6人の実習生を受け入れ、シーズン最盛期に備える予定だったが、入国制限で来日できていない。昨季から引き続き作業に当たる実習生は13人いるが、うち4人は帰国を希望し、年明けに契約が終わる。「このままだと生産を減らさないといけない」

 カキ養殖業の中野水産(呉市音戸町)も9月にインドネシアから3人の実習生を受け入れる予定だったが、来日のめどが立っていない。現在はインドネシア人5人と日本人4人の計9人が働くが人手が足りていないという。「出荷量が減る可能性がある」と中野良広社長(62)は肩を落とす。

 技能実習制度は1993年、途上国の外国人に日本で働きながら技術を身に付けてもらい、母国で役立ててほしいと創設された。だが実際は、人手不足が深刻な農林水産業などで利用が拡大。カキ業者の多くも実習生に労働力を依存する。2019年末で実習生は全国で約41万人。広島県内では1万7649人と、この5年で65%増えている。

 政府はコロナ禍で傷ついた経済を立て直すため、10月から入国制限を緩和する。実習生や留学生、医療などの分野で来日を希望する中長期滞在者が一部来日できるようにする。観光客は対象外。ただ入国枠は1日千人程度の見通し。法務省によると、昨年までは中長期滞在者が1日約6千人入国していたとみられる。来日できていない実習生が入国するにはまだ時間がかかるもようだ。

 広島県産カキの水揚げは10月1日に解禁され、11月ごろから最盛期を迎える。呉産かき振興協議会の会長を務める中野社長は「これからの繁忙期をどうすればいいのか心配だが、多くの消費者にうまいカキを味わってもらうために人員確保に努めたい」としている。(東海右佐衛門直柄、東谷和平)

 <クリック>新型コロナの入国制限 新型コロナウイルス感染症の水際対策として、各国が外国人の入国に対して講じる措置。日本政府は159の国・地域を入国拒否の対象とした上で、経済の回復に向けた緩和策を検討し、ベトナム、タイ、シンガポールなど16カ国・地域との間でビジネス目的の人材往来に関する協議を個別に進めている。10月から、技能実習生や留学生、医療、文化芸術、スポーツなどの分野で来日を希望する中長期滞在者への入国を条件付きで再開する。入国枠は1日千人程度となる見通し。 

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