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鎮静剤投与の患者死亡 世羅中央病院、医療事故公表せず
広島県世羅町の公立世羅中央病院で2019年2月、入院中の90代男性が鎮静剤投与による医療事故で死亡し、病院側が遺族に謝罪し示談金1800万円を支払っていたことが2日、分かった。運営する世羅中央病院企業団は「遺族の意向」を理由に、事故について公表していない。
院内事故調査委員会の報告などによると、男性は同年1月末に入院。2月上旬、興奮状態で眠らなかったため「危険を防ぐ」などとして当時の院長の指示で、手術時の麻酔などで使う鎮静剤「プロポフォール」を投与した。男性はその後亡くなった。
病院が作成した男性の死亡診断書には、死因を「老衰による急性心不全」と記載。一方、調査委は、死因について「鎮静剤による呼吸抑制で低酸素血症・循環不全を引き起こした」とし、医療事故と認定した。
病院側は同6月、医療事故調査制度に基づく第三者機関「医療事故調査・支援センター」へ調査結果を報告した。遺族側に謝罪し、示談金1800万円を支払った。院長は男性の死亡後、院長職を外れている。
調査委は、再発防止策としてプロポフォールの管理や使用基準の作成、救急蘇生の研修実施などを挙げている。企業団は、今回の医療事故について「遺族が第三者に口外しないことを望んでおり一切コメントできない」としている。
企業団は世羅町と三原市が設置し、同院と公立くい診療所(三原市)の2施設を運営する。世羅町は企業団負担金として20年度当初予算に4億2500万円、三原市は同じく6600万円を計上している。
広島国際大の林行成教授(医療経済学)は「医療事故は起こりうるが、その後の対処が重要だ。個人情報に配慮した上で、どんな事案やミスがあったのか、公的医療機関は特に、議会などを通じて住民に伝える必要がある」と指摘する。(神下慶吾)
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