【探究 個性派】スーパーヒーロー研究 山口大の武本ティモシィ教授(55)【動画】
▽描かれ方に浮かぶお国柄
極真仕込みの空手キックが空を裂く。全身黄緑のスーツに自転車用ヘルメット、反射たすきをまとったヒーローの名は「ちゃりん者(ジャー)」。山口大経済学部の武本ティモシィ教授(55)が変身した姿だ。異形の姿で自転車にまたがり、山口市内を70キロ以上走り回ることも多い。「日本のヒーローは変身すると真のパワーを発揮するからね」。流ちょうな日本語でおどけてみせた。
■「日本は協調性」
英ロンドン出身。文化心理学が専門で欧米と日本のスーパーヒーローを題材に国民性や文化の違いを考察している。「個人主義と集団主義」がテーマの講義では、次のような切り口を示した。
欧米では、スーパーマンやスパイダーマンのように個性あふれる主人公が1人で悪に立ち向かう。これに対し、日本のスーパー戦隊は5、6人のチームで協力して敵と戦い、最後は合体ロボで打ち砕く。「欧米社会では個性が、日本社会では協調性が尊重されている。スーパーヒーローには社会の模範とされる姿が投影されているんだ」
変身アイテムへの思い入れも強い。学生時代から研究を続けている宗教の概念を引き合いに「特別なパワーを引き出すという点で神の加護が詰まったお守りや御朱印と似ている」との持論を展開。「子どもが関連グッズを集めるのと年配者が御朱印を集めて回るのもどこか似ているよね」。ちゃりん者は変身の際、胸の前で自転車の携帯エアーポンプをかざす。
スコットランドのエジンバラ大を卒業後、在学中に学んだ神道への関心から日本に留学した。久留米大で1年更新の教員だった2001年に佐賀県出身の妻泰子さん(51)と結婚。暮らしを安定させるため任期制ではない教員のポストを探していたところ、山口大に職を得て03年に移住した。
■真逆の姿に興味
ヒーロー研究に目覚めたのは長男怜君(14)が幼い頃、一緒に見たスーパー戦隊のテレビ番組。テレビに映るゴーオンジャーやシンケンジャーは敵の前で堂々と変身し、秘めていたパワーを解放していた。自身の記憶にあるヒーロー像と真逆の姿に興味をひかれた。
「スーパーマンは身近な人が狙われるのを防ぐため平凡な姿に変装し、本来のパワーを隠していた。全く逆のヒーロー像に興味を引かれた」と話す。
新型コロナウイルスの感染予防のため、いまはキャンパスから20キロ余り離れた山口市秋穂二島の海辺に購入した別荘でウェブ会議システムを使ったリモート講義を続けている。「英会話」「宗教論」「経済と法」など週8こま。落ち着いた雰囲気の眼鏡に掛け替え、ワイシャツとネクタイ姿でびしっと決める。モニター越しに学生を指導する姿がちゃりん者の正体だとは想像しがたい。
週1回、別荘の裏山を上り、周囲を360度見渡せる山頂(101メートル)で無我無心に趣味の空手の稽古に励む。引き締まった脚のラインを褒めると、「ちょっとお尻がたるんできてるのが気に入らないんだ」。ちゃめっ気たっぷりに笑った。(門脇正樹)
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