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音戸渡船、存続の危機 コロナ禍で利用減・船頭けが…住民団体が寄付募る

2020/10/8
音戸町側に到着するかもめ号。奥は第2音戸大橋

音戸町側に到着するかもめ号。奥は第2音戸大橋

 呉市本土と倉橋島の海峡、音戸瀬戸を往復し、日本一短い定期航路といわれる音戸渡船の存続が危ぶまれている。新型コロナウイルス禍で利用者が激減し、船頭のけがも重なって、今夏は2カ月間休業。使用する船も老朽化が激しい。厳しい現状に、住民団体が寄付を呼び掛け始めた。

 建造68年の木造船「かもめ号」がポンポンとエンジン音を響かせ、往来する船の波をかわしながら、ゆっくり進む。片道約120メートル。本土側の警固屋と倉橋島の音戸町とを約1分半でつなぐ。渡船の代表でただ一人の船頭、花本智博さん(60)が潮を読んでかじを切る。

 昼休憩を除く午前7時〜午後7時、客がいれば随時運航。時刻表はなく、船が対岸にいても手を振れば迎えに来てくれる。料金は大人100円、小人50円など。自転車、小型バイクは乗せられる。

 「音戸の玄関であり財産。みなさんの力を借り、単なる延命ではなく、活用方法や方針を考える機会にしたい」と話すのは、地元住民たちでつくる「音戸町魅力化推進協議会」の相川敏郎会長。苦境を救おうと、クラウドファンディング(CF)で寄付を募り始めた。

 音戸瀬戸の渡船業は江戸時代からの歴史を持つといわれ、今も地域住民の生活航路。音戸高生徒の通学にも使われる。しかし、音戸大橋(1961年開通)に続いて第2音戸大橋が2013年に開通し、利用者の落ち込みが目立つという。市によると、12年度には1日平均230人が利用していたが、昨年度は約50人。市から補助金も受けているが、厳しい経営が続く。

 今年は不運も重なった。建造71年になるもう1隻の「つばめ号」とともに船の故障が相次ぎ、花本さんも転倒事故で脚を骨折。7〜8月に休業を余儀なくされた。コロナ禍で観光客も減り、花本さんによると、利用者は1日平均10人ほどに落ち込み、3人の日もあったという。「もう無理かもしれないとも思うが、なんとか続けたい」と話す。

 CFは船の修繕費として350万円を目標に、CFサイト「MOTION GALLERY(モーションギャラリー)」で募っている。(池本泰尚) 

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  • かもめ号を操縦する花本さん

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