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コロナ対応に教員疲弊 広島県教委、非常勤増で支援へ

2020/10/8 22:22

熊野中で掃除時間に消毒作業をする教員(手前右)

 新型コロナウイルスの影響で教員の負担が増している。感染拡大に伴う臨時休校が明けた6月以降、校内で消毒作業をしたり、行事の日程を組み替えたり…。「マスクを着けて授業をして消毒作業もして。ヘトヘト」との悲鳴も上がる。広島県教委は負担を減らすため、学校現場をサポートする非常勤職員の増員を進めている。

 約270人が通う熊野町の熊野中では、生徒が提出する体温を記録した「健康観察カード」を毎日、担任と副担任、養護教諭が3重でチェックしている。掃除時間には、教員は生徒と一緒に校内を消毒。混雑を防ぐため、廊下の進行方向を示すテープを貼る作業などにも汗を流す。

 授業時間確保や感染対策のため、行事の見直しも必要だ。生徒指導主事の平岡健太朗教諭(35)は「行事を縮小しつつ、生徒をどう楽しませてあげられるか常に考えている。今年ならではの大変さがある」と語る。

 学校現場の負担増を巡る声は、あちこちで聞かれる。県北部の公立中の女性教諭は「授業合間に数百個の机といすを消毒。部活後も更衣室や体育館を消毒して、翌日の準備をする。しんどい」とこぼす。

 県立高の男性教諭は「休校した分、授業時間が短く、教えるスピードが速くなりがち。教員がもう1人がいれば、理解できていなさそうな生徒に声を掛けるなどの対応ができるのに」と人手の必要を説く。

 県教委も手を打ってはいる。広島市教委を除く市町教委や県立学校向けに、教員免許を持つ非常勤講師、免許はないが授業や自習を手伝う学習支援補助員の採用を拡大。プリント印刷や消毒作業を担うスクール・サポート・スタッフ(SSS)や、県立高生の就職先開拓などを担う就職指導支援員も増やしている。

 県教委は国の臨時交付金で、本年度一般会計補正予算で事業費9億円を確保。市町教委や各校と連携して適任者を探している。

 県教委によると、各市町教委が、小中学校で必要としている非常勤講師と学習支援補助員は9月17日現在で計約390人に上る。SSSも新たに315校で任用する計画だ。

 ただ、勤務が本年度末までなどの事情から、関係者からは「都合の良い人材はそう簡単に見つからない」との指摘もある。実際にたとえばSSSでは9月1日現在、55校で任用者の見通しが立っていないという。

 県教委は「ハローワークなどを通じて、人材確保に努めている。既に働いている非常勤教諭に勤務時間を増やしてもらうなどの工夫もして、児童生徒により細かく対応できる態勢を築きたい」としている。(久保友美恵)

 ▽時間外勤務増、56%訴え 広島県内教職員の実態調査

 全日本教職員組合(東京)が7、8月にした働き方の実態調査で、回答した広島県内の教職員168人のうち6割近くが時間外勤務の増加を訴えたことが、全広島教職員組合(全教広島、広島市東区)のまとめで分かった。新型コロナウイルスの臨時休校が明けた後、授業準備に加えて感染予防にも追われているという。

 調査は、小中高校や特別支援学校の教職員を対象にインターネットなどで実施した。全国では4101人が応じ、全教広島が県内分を分析した。

 平日の時間外勤務や持ち帰りの仕事、土日曜の出勤の昨年度との比較で、15・9%が「かなり増えた」、40・2%が「少し増えた」と答えた。計56・1%は、全国調査の計41・7%を14・4ポイント上回る。繁忙の理由に、69・6%が「消毒や清掃、施設点検など感染予防対策の増加」を挙げた。

 学校再開から夏休みまでの平均的な1週間の時間外勤務は「15〜20時間」が26・9%で最も多く、「25時間以上」も16・2%いた。全教広島の神部泰書記長は「この夏は酷暑の中での授業で、感染症と熱中症対策で教員の負担が増した。不要な行事や業務の見直しが必要だ」と訴えている。 

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