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漁礁並べ誘い込み、港で漁 広島県大崎上島町が実証実験、アマモ場再生も

2020/10/8 23:00
漁礁を据えた港内で捕らえた魚を船上で確認する上嶋さん(右)

漁礁を据えた港内で捕らえた魚を船上で確認する上嶋さん(右)

 漁業者の高齢化や海の環境悪化による漁獲高の低迷を受け、広島県大崎上島町が、目先の海から島の船だまりに向けて漁礁を並べて魚を誘い込むユニークな実証実験を進めている。岸辺からすぐの港内で本格的な漁ができ、漁業者の負担軽減につながる漁場再生の試みという。

 実験は、大崎上島北部にある大西港に近い約2千平方メートルの区域で昨年11月から行っている。岸から100〜200メートルの目前の海域に、ポリエステル製の一辺1メートル〜40センチの網構造の漁礁を、防波堤内の船だまりへ向かって約10メートルの間隔で据え、魚を誘導する。防波堤の内側にも、魚を滞在させるために積み上げる。

 実験を受託しているのは、広島工業大客員教授の上嶋英機さん(76)が理事長を務める一般社団法人「大阪湾環境再生研究・国際人材育成コンソーシアム・コア」。上嶋さんは8月下旬、同法人の関係者たちと現地を訪れ、試験的に漁をした。

 船着き場から漁船でわずか1分、防波堤の周辺に刺し網を設置。マダイやキジハタに加え、アコウやオコゼなどの高級魚も含む計25匹がかかった。上嶋さんは「沖合まで出なくてもこれだけ高級魚が取れる」と手応えを語った。

 実験では漁礁設置とは別に、アマモの藻場の再生も併せて行っている。現場は大崎上島の北にある長島と相賀島の2カ所。海底を耕した上で区画ごとにカキ殻や石粒をまき、昨年11月にアマモの種を植えた。この海域の環境に適した生育法を探っている。

 将来的にはアマモ場に魚が産卵し、育った魚たちが港内に回遊してくると期待している。

 周辺の海では1960年代から建設資材用に海砂が採取され、98年に全面禁止されるまで、漁場の荒廃が進んだ。近年は海水の貧栄養化などの影響もあり、同町の2018年度の漁獲高は24トンと、15年前と比べて半減しているという。

 町が本年度に投じる事業費は2700万円。上嶋さんによると、研究機関による漁場再生の実験は各地で実施されているが、自治体が主体となる事例は珍しいという。町地域経営課の坂田誠課長は「漁業の担い手確保につながることが期待される。来年度以降の施策にも生かせるようにしたい」と話している。(山田祐)

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