談合疑い12社で9割超す54件落札 広島市発注の学校PC 20件は1社だけ入札
広島県と広島市が発注した学校用コンピューター機器の談合疑惑で、市がホームページ(HP)で公開している関連57件の入札の9割超に当たる54件を、公正取引委員会の立ち入り検査対象となった12社が落札していたことが15日、分かった。うち20件は1社だけが入札し、競争が十分に機能していない状況が浮かび上がった。
市は原則、2019年度以降の入札結果をHPで公開している。長期契約となるリースについては古い入札結果も公開。57件の内訳は、学校用のタブレット端末の購入10件(不調2件を除く)、ノート型パソコンの購入23件、コンピューターの設定業務5件、サーバー機器のリース19件。
このうち、公取委が立ち入り検査した14社に含まれる12社が54件を落札していた。12社以外は3件だった。また、57件のうち8割超に当たる49件で入札業者は1社または2社だった。最も高額の21億9265万円で落札されたタブレット端末購入の入札も単独入札で、市の予定価格に対する落札価格を示す落札率は99・98%だった。
市物品契約課などによると、学校用ノート型パソコンでは18年度に単独入札が相次ぎ、価格面の競争を促すために年度途中から予定価格を非公表にした。ただ、タブレット端末は大規模な購入の前例がなく、予定価格を公表したという。
市や広島県は、文部科学省の「GIGAスクール構想」などを背景に、学校現場の情報化に力を入れている。公取委は、関連機器の発注増加が見込まれる中、業者が事前に調整して受注業者を決めていた疑いがあるとみて調査している。
発注状況を確認している市教委情報化推進・学校支援担当は「できるだけ競争が働くよう、入札の仕方は必要に応じて見直ししている」と話している。(明知隼二)
▽全14社、立ち入り認める
学校用コンピューター機器の入札で談合が疑われている問題で、OA機器販売などの5社が15日、公正取引委員会から立ち入り検査を受けたことを新たに認めた。このうち新星工業社(広島市南区)と立芝(西区)は「違反の事実はない」と疑惑を否定した。
他の3社は、北辰映電(中区)田中電機工業(南区)呉電子計算センター(呉市)。5社は13、14日に立ち入り検査を受けた。いずれも「全面的に協力する」としている。
新星工業社は15日、自社ホームページに「違反の事実はないものと考えている」との文面を出した。立芝の田中修司社長も「談合はない。潔白を証明するため、公取委に全て調べてもらいたい」と話した。
中国新聞の取材に、NTT西日本(大阪市)など他の9社が14日、検査の事実を認めている。(森岡恭子)
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