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【ラグビー】W杯で部員増期待…コロナが阻む 全国高校大会予選開始、広島県の現状

2020/10/19 22:59
4校合同チーム(赤と白のユニホーム)が福山工に挑んだ第100回全国高校ラグビー大会広島県予選1回戦(18日、広島県営ラグビー場)

4校合同チーム(赤と白のユニホーム)が福山工に挑んだ第100回全国高校ラグビー大会広島県予選1回戦(18日、広島県営ラグビー場)

 年末年始に花園ラグビー場(大阪府東大阪市)で開かれる全国高校ラグビー大会が今冬、第100回の節目を迎える。列島を熱狂させたワールドカップ(W杯)日本大会から1年。追い風の中で迎えるはずだった記念大会は、新型コロナウイルスの影響で開会式の中止が決まるなど水を差された。それでも各地で予選がスタート。18日に県予選が開幕した広島の現状を探る。

 ▽敬遠される「密着」プレー

 18日の1回戦。誠之館、葦陽、明王台、福山の4校合同チームが福山工に挑んだ。おそろいのユニホームに学校別のソックスを合わせた選手は計16人。果敢にタックルを繰り出し、終盤にはトライも決めたが、7―59で敗れた。前十字靱帯(じんたい)断裂のけがから1年ぶりに復帰した誠之館3年の藤井翔太は「少し怖さはあった」。それでも、「3年間ラグビーを通して勇気を学んだ。最後まで諦めずに走り切れた」と充実感をにじませた。

 ■出場は7チーム

 今回出場するのは7チーム10校。競技人口の減少で15人制の単独チーム結成が年々難しくなり、2003年から合同チームの参加が認められた。現在は単独で出場できない学校の選手を集め、地区や全国レベルで大会も開かれている。

 広島勢が予選に参加したのは地区代表制だった1934年の第16回大会から。創部2年の広島一中(現国泰寺)が全国大会出場を決めた。テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」の影響などで、93年には最多の21校が出場した。その後は少子化やサッカーブームのあおりでチーム数が減少。各学校で創部に尽力した指導者が退職し、続く人材も不足している。今年8月には美鈴が丘の廃部が決定。全国大会の出場経験がある国泰寺や広島工大高、尾道商などはすでに廃部となっている。

 そんな中で関係者が期待を寄せたのは、昨秋のW杯効果。実際、小学生以下を対象とした県内のスクールの所属選手は前年比1・3倍の約400人に増えた。

 ■「中学が空洞化」

 一方、竹原OBで元日本代表の大内寛文さん(53)=竹原市=は「九州や関西に比べると中学が空洞化している」と指摘する。ラグビー部があるのは崇徳中と尾道中だけ。中学で他の部活に専念し、そのまま競技から離れてしまうケースが多い。「危険なイメージも根強いが、それを上回る魅力を伝えないといけない」と強調する。

 W杯の恩恵を受けるはずだった高校は、コロナ禍で大きな打撃を受けた。指導者らは「期待していたのに全く部員が増えなかった」と一様に首を振る。入学時の勧誘活動が十分にできなかった上、プレー中に「密着」するとして敬遠されたという。

 ただ手をこまねいているわけではない。今年、広島工や崇徳、尾道などは小中学生を招いて合同練習や体験会を実施。尾道は12月に完成する人工芝のグラウンドを、スクール向けに開放する予定だ。県高体連専門部委員長で広島工の河野一彦監督は「(世代を超えて)連携を強め、ラグビーに興味を持った小中学生に高校まで続けてもらえるよう工夫したい」。W杯効果による人気の高まりを逃さず、継続して取り組むことが重要となる。(西村萌、写真も) 

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