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容疑者勾留、却下率高まる 検察庁請求、裁判所が必要認めず

2020/10/21 21:00

 刑事事件で逮捕、送検された容疑者の身柄を拘束するための検察庁の勾留請求に対し、裁判所が必要性を認めず却下する割合が高まっている。広島県内の裁判所では10年前は1%前後で推移していたが、2019年は4%を超えた。「身柄拘束を利用し、自白が強要される恐れがある」との批判もある中、専門家は裁判員制度の導入を機に裁判所が判断を厳格化しているとみている。

 勾留は、検察庁が今後の捜査で身柄拘束が必要として請求し、裁判所が証拠隠滅や逃亡の恐れがあると認めた場合に最長で20日間が認められる。請求が却下されると容疑者は釈放され、在宅での捜査となる。

 広島地裁によると、県内の勾留請求の却下率は16の地裁・地裁支部・簡裁を含め08年は0・4%だったが、裁判員制度が始まった09年に1・1%となり、その後も上昇傾向が続いて15〜18年は2・0〜3・1%で推移。19年は2342件のうち97件が却下され、4・1%となっている。

 却下率が上がる現状に広島地検は「各事件を厳格に判断し、必要な事件について勾留請求している」と説明。広島地裁は「コメントは控える」としている。

 最高裁によると、全国でも却下率は08年に1・1%だったが、19年は6・2%に跳ね上がっている。甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は、裁判員制度で刑事裁判への市民参加が進み、逮捕、勾留に頼りがちな捜査機関への視線が厳しくなったと指摘。「裁判官も取り調べの機会を提供するという安易な気持ちで勾留申請を審査していた姿勢を変えざるを得なくなっている」とみる。

 県内では今年も、公然わいせつ容疑の検察事務官男性や医師法違反容疑などの医師男性の勾留請求が却下された。医師男性は再逮捕後も退けられた。今月には広島市西区の民家に窓ガラスを割って侵入したとして住居侵入と器物損壊容疑で現行犯逮捕された米軍岩国基地(岩国市)所属の海兵隊員男性も却下され、捜査関係者は「以前は認められていたものが却下されるケースもある。釈放されるとその後の捜査に時間がかかる」とこぼす。

 一方、広島弁護士会刑事弁護センター委員会の委員長を務めた井上明彦弁護士は「適正な方向に行っているとは思うが、必要性がないと感じる勾留もある」と強調。「勾留されれば会社を辞めないといけない人もいるなど人生が大きく変わるケースもある。長期の拘束で冤罪(えんざい)を生む危険性もはらんでおり、より慎重に運用すべきだ」と訴える。(浜村満大)


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