【激震 元法相夫妻公判】克行被告、「答弁」拒絶100回超 検察側への対決姿勢むき出し
「答弁は控えます」「私自身の裁判で答える」―。昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で公選法違反罪に問われた河井案里被告(47)=参院広島=の22日の公判。証人として出廷した元法相で夫の克行被告(57)=衆院広島3区=は国会用語の「答弁」という言葉も使い、100回以上の証言拒否を繰り返した。真相解明につながる新たな事実は語られず、23日まで2日間を予定していた検察側の主尋問は、1日だけで終了した。
弁護人の解任で自身の公判が中断したため、約1カ月ぶりの出廷となった克行被告は紺色のスーツ姿。検察官に「職業は衆議院議員ですね」と尋ねられ、「はい、そうです」とはっきりとした口調で答えた。
続いて検察官が「選挙区は広島3区ですね」と尋ねると、いきなり「裁判長」と声を張り上げた。質問には答えず、「ご迷惑をおかけした」と発言。公判の中断について釈明した後、「必要なことは自分自身の裁判で申し上げたい」と述べ、黙秘権を規定する憲法38条の条文をそらんじた。
高橋康明裁判長が証言拒絶権を質問ごとに認めるかどうか判断する考えを示し、尋問は再開。その後も、参院選当時の情勢や後援会活動について質問する検察官に対し、「裁判長」と声を張り上げて「答弁を差し控える」などと強調。約2時間半の尋問で100回以上の証言拒否をした。
一方で、案里被告と共謀して広島県議ら5人に現金を渡したとされる起訴内容について問われた際には「知りません」などと小さな声で答えた。
検察官に対しては「正確な質問を」「質問が漠然とし過ぎている」と問い直すなど、対決姿勢もむき出しに。検察官が「分かった上で話をはぐらかしている」と、裁判長に注意を求める場面もあった。現金を渡した県議や市議らの名前が記された「買収リスト」に克行被告が書いたとされるメモ書きについて質問を受けた時には「汚い字をよく読めましたね」と皮肉まじりに切り返した。
案里被告は6月18日に逮捕されて以降、東京拘置所で勾留が続き、白髪が目立つようになった。尋問の間は下を向いていることが多かったが、時折、証言台を見つめて笑みを浮かべた。弁護人によると、案里被告は克行被告の証言拒絶を予想していたという。退廷時には克行被告から心配そうな視線を送られたが、目を合わせることはなかった。(中川雅晴)
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克行被告証言<1>必要なことは自身の裁判で申し上げていきたい
克行被告証言<2>今立っている検察官に聴取を受けました
克行被告証言<3>妻がどなたに現金を差し上げたかは知りません
克行被告証言<4>政治的な経緯、歴史は本件に関わる
克行被告証言<5>事件に関係ない質問はない。だから拒否します
克行被告証言<6>証言を拒絶する権利を行使したいと思います
克行被告証言<7>(検察官の)表現が、馬から落馬しているようでよく分かりません
克行被告証言<8>汚い字をよく読めましたね
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