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「核兵器は許されない」と法的文書になる意味大きい 広島市立大広島平和研究所の水本和実教授

2020/10/25 14:06

核兵器禁止条約発効の意義などを語る水本教授

 核兵器の使用や保有、開発などの全てを禁じる「核兵器禁止条約」の批准国・地域数が、条約の発効に必要な50に達した。核兵器禁止条約は、核兵器を倫理的に否定する規範としての効果が期待される一方、核兵器を持つ国や同盟国を実際に廃絶へと向かわせる実効性には疑問の声もある。広島市立大広島平和研究所の水本和実教授(核軍縮)に、その意義や課題を聞いた。

 ―禁止条約が発効する意義は何ですか。

 まず何よりも核兵器が違法化されることだ。「核兵器は許されない」という市民感覚が、正式な法的文書になる意味は大きい。毒ガスの禁止など過去の例を見ても、国際社会に現実にルールが存在すること自体が強いプレッシャーになる。

 核兵器の保有や使用、威嚇などを「いかなる状況においても」禁止した点も重要だ。1996年の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見でも、使用や威嚇を「一般的には国際法違反」としたが、国家存続の危機など極限の状況については判断できないとしていた。

 ―核兵器保有国や「核の傘」に頼る国は条約に反対し続けています。

 核拡散防止条約(NPT)への悪影響などを反対理由に挙げているが、禁止条約には、既存の条約を尊重する趣旨がはっきりと書いてある。それに反対派も、将来的に核兵器を廃絶するという点では一致しているはずだ。現時点で核兵器を持っていることと、近い将来の廃絶は両立する。今は条約に加われないと言うのなら「いつ加わるのか」と問わなくてはいけない。

 ―「唯一の被爆国」を掲げる日本政府も、条約に反対しています。

 日本政府は核軍縮を口にしながら米国の核戦力に頼り、その強化すら求めている。核兵器を持つ国と持たない国の「橋渡し」役を果たすというが、このままでは国際社会の信頼は得られないだろう。国民への欺きでもある。

 日本が米国との同盟関係に組み込まれているのは厳然たる事実だが、自国の利益をむき出しで追求する米国に倣うべきではない。日本の国民の利益や希望に本当にかなっているのか、核抑止に依存する現状を見つめ直す必要がある。

 ―被爆地にはどのような役割が果たせますか。

 保有国は引き続き、安全保障には核抑止力が必要だとし、条約を否定するメッセージを出すだろう。禁止条約を支える幅広い国際世論が必要だ。若い人たちの中に、より普遍的な平和への関心を広げることが、結果的に核兵器廃絶への大きなうねりにつながると考えている。広島は原爆被害の発信を続けてきたが、そうした役割も果たせるのではないか。

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