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石州瓦を熊本の豪雨被災者仮設住宅に 600世帯分「雨音響きにくい」

2020/10/25 21:35
石州瓦で仮設住宅の屋根をふく工事現場=熊本県人吉市(丸惣提供)

石州瓦で仮設住宅の屋根をふく工事現場=熊本県人吉市(丸惣提供)

 島根県西部の伝統産業である石州瓦が、熊本県が7月豪雨の被災者向けに整備した仮設住宅で使われた。通常は工期の短い金属の屋根だが、瓦は雨音が室内に響きにくく、雨で自宅を失った被災者の心情に配慮できるとして採用した。供給した丸惣(江津市)によると、仮設住宅で大規模に瓦が使われるのは珍しいという。関係者は「瓦の良さの再認識につながれば」としている。

 熊本県では南部を流れる球磨川の氾濫などで住宅8千棟以上が被害を受けた。八代市や人吉市などに建てた仮設住宅約600世帯分に、丸惣の平瓦約35万枚を使った。県の担当者は瓦にした理由を「雨音が被災者の恐怖感をあおる可能性がある。被災地が山間部で、瓦の自宅が多い点を踏まえた」とする。石州瓦は熊本でシェアがあり、県の発注先などと丸惣の間にも取引があって実現した。

 仮設住宅の整備は迅速さが求められるため、丸惣は7月上旬の発災直後、連絡を受けてすぐに準備を始めた。現地で施工業者と打ち合わせるなどし、同月25日には最初の瓦を搬入。着工からおおむね2カ月で入居ができているという。

 石州瓦工業組合(江津市)は、当時島根大に勤めていた大阪大大学院の下倉良太准教授(音響学)に、屋根の部材による騒音の違いをみる実験を依頼。モデルハウスを使って少雨の日に比較したところ、室内の騒音は金属に比べて瓦の方が小さかったという。下倉准教授は、音の原因は雨の打撃による部材の揺れで、重さのある瓦は金属よりも揺れを抑えられるとし、「降雨時の静けさとしてアピールできるレベル」とする。

 石州瓦工業組合によると、加盟6事業所の出荷枚数は、減少傾向が続き、19年度は前年度比22%減の約2600万枚。3年連続の前年度割れだった。同社の佐々木基登専務は「仮設住宅でも石州瓦が使えると分かった。遮音性は一般の住宅でも重要で、強みを広めていきたい」と話す。(下高充生)

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