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妖怪 今も昔も<2>ぬりかべ 夜道で急に壁 三つ目姿(2020年8月20日掲載)

2020/8/20 14:31
ぬりかべ(2020年、吉田狐稚作)

ぬりかべ(2020年、吉田狐稚作)

 「ぬりかべ」と聞いて、おそらく多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、妖怪漫画家、故水木しげるが描いた、灰色で四角くて大きな壁のような、あのぬりかべだろう。しかしながら、今回紹介するぬりかべは、それとはまったく異なる姿をしている。

 ぬりかべはそもそも、夜道を歩いていると急に壁に行き当たり、前に進めなくなるなどする怪異に付けられた名前である。享和2(1802)年に狩野由信が描いた当館所蔵の「化物づくし絵巻」には、白い犬のような三つ目の妖怪として、ぬりかべが登場する。伝承との関連は不明だが、ぬりかべの姿をとらえたものとして貴重な資料である。

 このぬりかべを立体化したフィギュアを、妖怪研究家である当館の湯本豪一名誉館長が監修し、彫刻家の吉田狐稚(こわく)氏が制作した。基となった絵巻では描かれていない妖怪の腹や尻までをも考察で補って立体化している。妖怪を生み出してきた昔の人々の想像力に、現代の私たちがアプローチする試みとして、立体化は非常に有効な手法であると言えよう。(妖怪博物館学芸員 吉川奈緒子)=展示内容は記事掲載日現在

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