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妖怪 今も昔も<3>神社姫 竜宮の使い名乗り予言(2020年8月22日掲載)

2020/8/22 14:36
神社姫(江戸時代)

神社姫(江戸時代)

 文政2(1819)年の旧暦4月9日に、肥前国(現在の長崎県)の葦野浜に現れたという「神社姫」。「竜宮からの使いである」と名乗り、7年間の豊作と、「コロリ」という病の流行を予言した。神社姫は、アマビコやアマビエに先立つ予言獣の一例で、やはり「その絵姿を拝めば難を逃れられる」という御利益とともに広まった。

 江戸時代は毎年のように、天然痘やはしかなど疫病が流行し、そのたびに多くの人が亡くなった。えたいの知れない疫病にひとたび感染すれば、なすすべもなく命が奪われてしまうのだ。私たちも今、まさに疫病の恐ろしさを痛感しているが、昔の人々が抱いた恐怖は、現代の比ではなかっただろう。

 このような状況を背景に、江戸時代にはさまざまな予言獣が登場した。予言獣は、捕獲することができないものであるがゆえに、誰も独占できないし、シンボリックな外見によって容易に共有ができる。

 御利益を得るための条件も、とても簡単だ。「絵姿を拝むこと」。ただ、それだけである。実は予言獣とは、江戸時代にも、現代にもマッチした、まことによくできた精神の救済システムなのである。(妖怪博物館学芸員 吉川奈緒子)=展示内容は記事掲載日現在

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