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妖怪 今も昔も<7>五日市の雷獣 空から落下 塩釜で発見(2020年8月27日掲載)

2020/8/27 15:23
雷獣図(江戸時代)

雷獣図(江戸時代)

 空から、海から、あるいは道端で。近代以前には、不思議な生き物との巡り合いが身近にあった。それらは記録され、人から人へ伝えられた。また、残された骨やミイラは、その実在をより強める。多くの人がその存在を信じて疑わなかったこれらを「幻獣」と呼ぶ。

 今をさかのぼること約220年。享和元(1801)年旧暦5月のある嵐の日、安芸国五日市(現在の広島市佐伯区)に、空から幻獣が落ちてきた。当時、このあたりにあった塩田の塩釜の中で死んでいた、というのだ。これが「五日市の雷獣」である。

 記録によると、大きさは3尺7寸5分(約1メートル12センチ)、重さは7貫900目余(約30キロ)。大きい。しかも、その異様な姿といったら…。こんなものが眼前に現れたら、今なら写真を撮るべくスマホを取り出すところだが、当時の人は筆を執った。

 かつて、日常のすぐそばに潜んでいた幻獣たちの息づかいは、すっかり遠くなってしまった。しかし、私は嵐の日になると、幻獣が空から落ちてこないものか、と期待して待っている。目撃した方には、ぜひ情報をお寄せいただきたい。(妖怪博物館学芸員 吉川奈緒子)=展示内容は記事掲載日現在

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