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流川雑居ビル火災 元店長に有罪、広島地裁判決 ゴキブリ駆除の火で火災

2020/10/28 23:24

火災が起きた雑居ビルの跡地。今は解体されて駐車場になっている=広島市中区流川町(画像の一部を修整しています)

 2015年10月に3人が死亡、3人がけがをした広島市中区流川町の雑居ビル火災で、ゴキブリを駆除するためにガスバーナーで火を放った際、段ボールに引火し建物にも燃え移らせたとして重過失失火と重過失致死傷の罪に問われた元飲食店店長高沢愛章(あいしょう)被告(29)=同区=の判決公判が28日、広島地裁であり、冨田敦史裁判長は禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮4年)の判決を言い渡した。

 【写真】流川雑居ビル火災 火災当時〜現在


 段ボールなどがある所でアルコールスプレーを噴霧し、バーナーで火を放った高沢被告の行為と火災の因果関係の有無が最大の争点。弁護側は因果関係を否定し、無罪を訴えていた。

 冨田裁判長は判決で、捜査機関の再現実験を検証した専門家の証言に基づき、段ボールに着火する可能性があると認定。午後9時40分前後に高沢被告が駆除行為をした後、炎が立ち上って火災報知器が鳴り、同47分に高沢被告が119番をした点を踏まえ「被告の行為と火災発生の時間が近く、それ以外に合理的な出火原因は想定できない」と述べ、因果関係を認めた。

 「客や従業員に死傷の危険を生じさせる可能性があることは容易に予見でき、注意義務違反は著しい」とも指摘。「結果は極めて重大で強く非難されるべきだ」と述べる一方、ビルの防災管理が不十分であった点なども考慮し、執行猶予付きの判決を導いた。

 判決後、高沢被告は無言で地裁を後にした。弁護人は控訴する方針を示した。

 判決などによると、ビル1階にある飲食店の店長だった高沢被告は15年10月8日夜、段ボールなどが置かれたビル1階で、複数回にわたり床上のゴキブリにアルコールスプレーを吹き掛け、ガスバーナーで点火して駆除。段ボールなどに引火させ、木造2階建てのビルを全焼させた上、2階のメイドカフェにいた会社員男性=当時(36)=たち3人を急性一酸化炭素中毒などで死亡させ、男女3人の顔などにやけどをさせた。

 【解説】ビル防火 見直し急務

 6人が死傷した広島市中区流川町の雑居ビル火災を巡る広島地裁判決は、被告の軽率な行為を厳しく非難するとともに、ビルの防火体制の不備が一因になったと指摘した。人が密集する歓楽街ではひとたび火災が起きると大惨事になる。いま一度この火災をどう教訓にするかが問われる。

 広島県警などによると、6人がいたビル2階のメイドカフェは壁で仕切られた大小の個室が並ぶ複雑な構造だった。地裁判決は、火災当時は2階から地上への避難が難しい状況だったと説明。惨事の要因として「防災訓練が行われず、防災管理が不十分だったことなど、被告に帰することができない事情が一定程度寄与している」と言及した。

 2001年に東京・歌舞伎町の雑居ビル火災で44人が死亡し、08年には大阪・難波で同様に16人が亡くなった。狭い店内に多数の客と従業員がひしめく「ネオン街」は大火のリスクと隣り合わせだ。

 流川火災から5年。火災後の市の調査で、排煙設備がないなど建築基準法に抵触する建物が相次いで確認されたが、その6割は今も改善されていない。歓楽街の防災力をどう引き上げるか。ビルの所有者やテナント側の取り組みとともに、行政のリーダーシップも欠かせない。(松本輝)

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