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ニホンアワサンゴ死滅の原因は硫化水素か 海藻研究所・新井所長に聞く

2020/10/30 23:01
新井章吾所長

新井章吾所長

 山口県周防大島町沖に国内最大規模で群生するニホンアワサンゴが大量死している問題で、現地の潜水調査を続ける海藻研究所の新井章吾所長(65)=光市=は、海底に沈んだ有機物を微生物が分解する際に発生した硫化水素の影響との見方を示した。

 【スライド】山口県周防大島沖サンゴ大量死と以前の美しい群生地

 新井所長は10月、同町地家室沖の群生地約3千平方メートルで約7割が死んでいるのを目視で確認した。被害発生前後の調査で、群生地の岩のくぼみや割れ目に有機物の粒子「浮泥」が、20ミリほどの厚さで堆積していた点に着目。微生物が浮泥を分解する際に酸素が足りず毒性の強い硫化水素が発生し、高濃度でさらされた個体が死んだと推測する。

 サンゴは毎年9、10月の産卵後にまとまって死ぬことが知られている。体力消耗の影響とみられるが、約1割にとどまっていた。例年1カ月ほどかけ、弱った個体が徐々に死ぬが、今年は元気な状態から10日ほどの短期間で一気に大量死したという。

 状況から病原菌などの影響は考えにくいとし、今年は8月の水温低下のストレスに硫化水素が追い打ちをかけたと見る。硫化水素による大量死は過去にカキで関連を指摘する研究があるという。

 新井所長によると、河川から流れ込んだ細かな泥に有機物が付着してできる浮泥は近年、山林の荒廃などで増加。温暖化による海水温の上昇で微生物の分解が活発になり硫化水素が発生しやすくなっているという。「地元漁師も、昔より海の濁りがひどいと言う。硫化水素は閉鎖性の高い広島湾や中海などの問題だったが、今後は潮通しのいい海域でも発生が増えるだろう」と指摘している。(余村泰樹)

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