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食害防止の金網が逆効果 山に戻れぬシカ、集落内で繁殖 広島市安佐北区白木
広島市安佐北区白木町井原の農家が、集落の中で繁殖し続けるシカの農作物被害に頭を抱えている。シカの食害を防ぐため、集落の外側を囲むように山際に金網を設けたが、道路などから入ったシカが山に戻れないまま増えている。被害防止のための網が、逆に集落内に留めることになってしまった格好で、自治会は対策の検討を進めている。
農地の獣害防止のため、国の補助を受けて井原地区町内会・自治会連絡協議会が高さ約2メートルの金網で囲った江地・見張地区の約80ヘクタール。2016年から17年にかけて4・2キロにわたって設けた後、シカが道路や三篠川沿いから入り込んだとみられる。川沿いの茂みなどに潜んで増えており、現在は推定100頭前後が生息している。
夜になると農地に現れ、野菜や稲を食い荒らしている。その場で追い払っても、金網の外に出て行くことがないのが最大の難点で、これまでにネット式の捕獲わなを置くなどしたが効果が出ていない。同協議会の廣畑一孝(かずのり)副会長(76)は「このままでは地域の農業がシカに滅ぼされる」と危機感を募らせる。
このため同協議会の農家のメンバーたちが10月下旬、江地・見張地区を歩いて広島県や市の担当者と対応を協議した。県と市が準備する捕獲用のおりを、同協議会が近く、シカが通り道としている見張地区の耕作放棄地に仕掛ける予定でいる。
県によると、19年度のシカによる農作物被害は県全体で約4380万円。安佐北区では約1500万円で、近年は増加傾向となっている。廣畑副会長は「金網はシカの進入防止に一定の役割を果たしてきたと思っている。せっかく設置した金網を生かす新たな対策を考え、他の集落にも協力を呼び掛けたい」と話している。(重田広志)
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