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空き家、住民組織が対策 広島市安佐北、バンク運営/相談員養成

2020/11/3 21:21
空き家の前で活用策を話し合う鈴木会長(中)たち(広島市安佐北区安佐町小河内)

空き家の前で活用策を話し合う鈴木会長(中)たち(広島市安佐北区安佐町小河内)

 地域の住民組織が空き家対策に乗り出す動きが、広島市安佐北区で広がっている。物件の売買、賃借を仲介する空き家バンクを運営したり、所有者の悩みを聞く相談員を養成したりしている。山間部が多い同区では、高齢化や人口減少で地域が寂れることへの懸念が強く、市が独自の空き家バンクを運営していないことも踏まえ、古い家屋を活用して住人を呼び込もうとしている。

 山あいに集落が点在する安佐北区安佐町小河内。田舎暮らしに憧れる人を呼び込もうと、2017年10月に自治会とNPO法人が連携し、空き家情報を集約して購入希望者に発信する空き家バンクを設立した。

 これまで3年間で築80年の家屋など計11戸を賃貸や売買につなげた。小河内地区自治会連合会の鈴木師正(もろまさ)会長(73)は「取り組みが浸透しつつある。空き家はまだ多く、所有者に利用を働き掛けたい」と意気込む。

 安佐北区のあさひが丘団地では、今年8月から自治会が中心となって空き家相談員を養成し始めた。所有者から実際にあった相談を基に、対処法を民生委員たちが議論している。可部地域でも、住民グループが空き家になりそうな民家の数を調べて回った。

 総務省によると、中国地方に空き家は計57万3千戸程度あるとされ、高齢化が進む地域での増加が目立つ。安佐北区の高齢化率は今年8月末時点で33・8%で、10年前の10年に比べ10・6ポイント上昇。小学校が閉校するなど住民たちの過疎化への危機感は強い。

 過疎地域を中心に、空き家バンクの運営などを進める自治体も多いが、広島市は新規就農者向けに空き家紹介などはしているものの空き家バンクについては「すでに広島県が運営している」として当面は設立する予定はない。このため、「行政に頼らず、集落や団地を存続させたい」と住民が動きだしている。

 広島大大学院の由井義通教授(都市地理学)は「農村回帰や地方への移住先として空き家は注目されている。若い世帯を呼び込むには、住まいに加え、就職や教育、保育の状況をセットにして情報を出すことも必要だ」と指摘している。(重田広志)

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