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NPT重視へ動き期待 バイデン氏勝利宣言、修道大の船津教授に聞く

2020/11/9 22:13

船津靖教授

 米大統領選は、民主党のバイデン前副大統領(77)の勝利が確実になった。米国外交に詳しい広島修道大の船津靖教授(64)に、大接戦となった選挙戦の受け止めと「バイデン政権」の核政策の展望などを聞いた。(水川恭輔)

 ―大接戦となった選挙戦をどう受け止めますか。

 トランプ氏は、新型コロナウイルス対策よりも経済や雇用を重視し、黒人差別に抗議するデモの一部暴徒化を受けて「法と秩序」を掲げた。一方、新型コロナ対策に関しては医療専門家を軽視し、白人至上主義者を非難しなかった。

 ■コロナが影響

 それらを「やり過ぎだ」と感じた人たちの票がバイデン氏に流れたのが、トランプ氏敗因の一つではないか。トランプ氏は人を脅し、うそもつくが、本音をはっきり口にする姿に面白さを感じた支持者も多く、投票した米国人の半分近くの票を獲得した。もし、新型コロナがなければトランプ氏が再選されていた可能性もある。新型コロナ対策も選挙戦に影響したと言えるだろう。

 バイデン氏は、中間層出身で妻と娘の事故死や息子の早世といった悲運に耐えてきた。今回の選挙戦では、民主党の支持基盤である都市部の高学歴リベラルと、共和党の基盤である地方の保守的市民との断層があらわになったと言える。新大統領になるバイデン氏には、それを少しずつ埋めてほしい。経済・雇用対策とコロナ対策の両立も大きな課題となるだろう。

 ―新政権による核政策の展望は。

 トランプ氏は、他の人ができないタブーを打破する自分に酔う傾向があった。核兵器は使用しないというタブーが破られるのではという危うさがあった。そういった意味で、今回の選挙結果にはほっとしている。

 ■外交試される

 バイデン氏が属する民主党は、国際協調路線だ。安全保障のための核抑止力維持を前提に、核拡散防止条約(NPT)を重視して段階的に核兵器を減らす動きは期待できそうだ。

 民主党のクリントン政権時代の1996年に米国が署名した包括的核実験禁止条約(CTBT)についても重視するはずだ。共和党主導の議会の反対などがあり批准できていないが、息を吹き返してほしい。

 具体的な課題はいくつもある。米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約はトランプ政権が破棄を通告して失効した。米国は中国を巻き込んだ新たな枠組み作りに意欲を示しているが、形にすることができるのか。ロシアとは新戦略兵器削減条約(新START)の延長問題もある。ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席との首脳外交でも実力が試される。

 ≪略歴≫1956年、佐賀県伊万里市生まれ。東京大文学部卒。81年、共同通信社入社。モスクワ、エルサレム、ロンドン各特派員、ニューヨーク支局長、編集・論説委員などを経て16年4月から現職。

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